判例時報2237号で紹介された事例です(東京地裁平成26年4月14日判決)。



ある劇団の規約では,次のような定めのもと,主催者が恣意的な運営を行っていました。

・チケットノルマ・・・出演者は35枚(1枚3500円 合計12万2500円),スタッフは5枚(1万7500円)のチケットノルマ

・査定によるチケットノルマ・・・査定により出演者は最大70枚(前記ノルマにプラス35枚),スタッフは40枚のチケットノルマが課されることがある

・退団について (規約に定めはないものの規定を綜合すると)・・・退団の9か月前までに主催者に申し出なければ退団できない,主催者が了承しなければ退団できない

・退団者違約分担金・・・チケットノルマを果たせない団員が出た場合にはその分を他の団員が負担しなければならない

・規約規程違反金・・・稽古や講演に影響を及ぼす事態が生じた場合は必ず主催者にアポを取って面談してこれを伝えなければならない,アポを取らずにバックれた場合は賠償金として10万円支払わなければならない




本件は,もともと,劇団の主宰者が,上記の規定に違反したとして団員や辞めていった(主催者の主張ではそもそも辞めていないということになる)元団員に対して,上記規定に基づく支払を求めたものでした(こんなもの,よく請求すると思いますが・・・)。




それに対して,訴えられた団員らが,上記規定は公序良俗違反として,逆に,これまで支払ったチケットノルマ等の返金を求めて反訴しました。




裁判所は,劇団主宰者に鉄槌を下し,弱い立場にある団員に対して不当な拘束を課したり,主催者が認めない限り辞められないないなど事実上自由な退団を認めないなど,上記規定はすべて公序良俗に反する無効なものとして,劇団主宰者の訴えは棄却し,団員たちの反訴については認めたのでした(詳しくは判決文に当たってください)。




本件は控訴されたものの取り下げられて確定したということです。




劇団員とかの知り合いがいるとチケットノルマがあるのか,何枚か買ってくれないかと言われることがあるのですが,若者たちの夢や希望に付け込む悪質な劇団についてはこのような裁判例を知ってほしいものです。








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