判例時報2204号で紹介された事例です(東京地裁 平成25年3月14日判決)。



本件で問題となったそもそもの土地の賃貸借契約の始まりは古く,当事者である原告被告の父の世代,昭和8年ころまで遡るものでした。




世代が変わってからトラブルとなっていったようで,昭和49年ころに賃貸人側から賃借人が増改築禁止特約に違反したということで契約解除通知があり(ただ,本件でも争点にはなれましたが増改築禁止特約の存在については認めらませんでした),賃料の受け取りも拒絶するようになり,賃借人側は,その頃からずっと賃料を供託し続けていたというような状況でした。

このような長期間にわたる両者の関係というのも,裁判所が「この賃貸借契約は終わらせた方が良いのではないか」と考えた一つの要素ではないかと思われます。




賃貸人側は賃貸借契約の解除や賃料額の見解の相違を前提として,賃料の受け取りはずっと拒否し続けていたものの,契約期間の満了を前に,更新拒絶の通知を行い,賃借人側がその正当事由を争ったというのが本件です。




裁判所では,賃貸人側の事情として,賃貸人は本件土地の隣地に自宅を構えており,本件土地を自ら使用する必要性までは認められないが,本件土地をスーパー用地として貸し出すという計画には一定の具体性,合理性はあるとしましたが,賃借人が家族と一緒に長年本件土地上に建てられた建物に住んでいるという利益を考えると,そのままでは賃貸人による更新拒絶に正当事由は認められないとしました。




しかし,賃借人側が他に転居することは可能であり,現状のままの関係を続けさせるということは賃貸人に酷な面もあることから,賃貸人側からの立退料の申出についても考慮すれば,更新拒絶の正当事由を補完され,本件明渡請求を認めることができるとしました。




そして,立退料の金額としては,賃貸人側は推定公示価格を基準として3150万円を提示していましたが,裁判所は5000万円が妥当としました。

根拠としては,本件土地付近の実勢価格と賃貸人側が主張する推定公示価格の中間値を取って5000万円が妥当であろうということになっています。




本件は確定しているということです。






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