後見支援信託1

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後見の分野では,後見支援信託という制度が始まっています。




東京家裁後見センターQA

http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/koken/koken_qa/index.html#1_q13



後見制度による支援を受ける方(ご本人)の財産のうち,日常的な支払いをするのに必要十分な金銭を預貯金等として親族の後見人が管理し,通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みのことです。成年後見と未成年後見において利用することができます。信託財産は,元本が保証され,預金保険制度の保護対象にもなります。
 後見センターにおいては,現在のところ,1,000万円を超える資産がある場合について,後見制度支援信託の利用を検討することとしています。(ただし,後見事務に専門的な知識を要するなど専門職による継続的な関与が必要な場合や,本人の財産に株式等の信託できない財産が多く含まれる場合は除きます。)

上記後見センターQAからの引用)。




具体的には,新規案件と継続案件の信託への切り替えという2パターンがあり,新規案件というのは,新しく後見の申立をした際に,裁判所から「信託制度を使ってはどうか」と勧められるようです。




継続案件の切り替えというのは,それまで親族後見人が後見をしていた案件について,ある日,裁判所から「お手紙」が届き,「後見支援信託制度の説明をしたいので裁判所に来てください」ということで裁判所に行き,裁判官などから直接信託制度への切り替えを勧められるというものです。



後見支援信託制度を利用する方向ということになっても,すぐにスタートという訳にはゆきません。




一応,後見支援信託制度を利用するのに適した案件かどうかを調査するため,弁護士や司法書士などの専門職が一旦後見人となります。

継続案件の場合には,それまでの親族後見人と並列する形で専門職後見人が複数選任されます。




新規案件の場合には,専門職後見人は本人の金融機関を廻って後見人の届出をして,財産目録や年間収支予定表を提出するという通常の後見業務のスタート時と変わらない業務をします。

継続案件の場合は,既に親族後見人がいるため,特に,改めて金融機関に対して後見人としての届出まではしません。




そして,信託相当かどうかについて調査するのですが,どんな場合が後見支援信託に適するか否かということについては,

(1)財産の多寡・・・裁判所が信託利用する程度には財産があるという判断はしているわけですが,調べてみたら案外少なかったなど

(2)株式等の信託できない資産が多いかどうか・・・信託の対象となるのは現存する預貯金のみであり,株式や有価証券を換金してまで信託とするということは現在のところ想定されていないので,株式などの信託対象外資産が多かった場合には不相当となる

(3)本人の遺言がある・・・遺言により,本人が資産の使途を決めている場合には,本人の意思を無視ししてそれらを信託してしまうわけにはゆかないので不相当となる。なお,遺言は存在しているかどうかが確認できればよく,中身までは問われないとされています

(4)本人の身上監護に配慮すべき必要があるかどうか・・・信託制度を利用した場合,専門職後見人は辞任して後は親族後見人のみとなり,さらに監督人を付すという運用は現在のところされていないので,極端の場合でいうと,本人が虐待されているなどという場合に信託としてしまうと監視する人がいなくなってしまうということで信託制度は不相当だとされています

(5)その他・・・親族間の紛争があるかどうか,親族後見人の適格性に問題があるかどうか,といったことを調査することになっています。




調査期間は,新規案件の場合で初回の財産目録等を提出してから約3~4か月間なので選任時からトータルすると半年程度になることもあります。継続案件だと,選任時から約1~2か月程度になります。



調査に当たっては,身上監護の問題性の有無も調査事項となっている以上,念のため,本人のところにも行って監護状況を確認しなければなりません。本人が現在いる施設が老健施設のような場合ですと,いつまでもそこに居れるわけではないので,その後の生活場所が確保できているのかどうか確認し,できていない状況であれば,身上監護面で問題があるということになり,信託不相当ということにもなり得ます。

また,遺言の有無といっても,親族後見人や申立人に聞くほかは確認しようがありません。公証役場の遺言検索システムでは,後見人ということでは調査してくれません。



こんな感じでわりと手間暇かかるし,継続案件の場合ですと1~2か月で信託相当かどうかの意見を出すことになるので,かなり忙しくなります。




信託相当か不相当かの意見を裁判所に提出すると,裁判所はその専門職後見人の意見を尊重するということとなっています。





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