判例時報2204号で紹介された大阪高裁の事例です(平成25年9月5日)。




遺産を誰かにスムースに相続させたいという内容の遺言を書き場合,「・・・を相続させる」という文言を使うというのが決まりごとのようになっています。

このように記載しておけば,遺贈を受けた人は,誰の協力もいらずに不動産登記を出来ますし,金融機関も基本的に払戻し応じてくれます。




本件では,遺言を書いた当時に遺言者の世話をしていた長女に対して「私が亡くなったら財産については長女に全てまかせますよろしくお願いします」という遺言を残したため,トラブルとなりました。



遺産として,大手都銀の普通預金と定期預金合わせて約1010万円がありました。

長女は,遺言によって預金全部の遺贈を受けたとして請求しましたが,都銀はそのような遺言では払い戻しには応じられないということで訴訟となったのが本件です。



長女は,(1)遺言に基づく預金全額の払戻しを求め,それがだめなら,(2)遺言によって遺産の管理処分権を与えられたという理由による預金全部の払戻し,それもダメなら(3)預金を法定相続分(本件では8人の法定相続人がいました)に従って按分した約126万円の払い戻しを求めました。




一審は長女の(3)の請求のみを認めましたが,控訴審では,本件遺言をその作成当時の事情などにかんがみると,遺産全部を長女に遺贈したものであると解釈するのが相当だとして,長女による預金全額の払戻しを認めました(なお,定期預金については期限経過によって初めて請求できるものだとして,遅延損害金は満期到来後からということになっています。)。




本件では,当該遺言を作成する以前にも,公正証書遺言や自筆証書遺言があり,それらの遺言には「相続させる」という記載がありましたので,都銀や本件訴訟に参加した法定相続人の一人である三女は,遺言者は「相続させる」という記載の意味を知っていたのにあえてそれを用いなかったのだから,長女に遺産すべてを遺贈するという意味ではないと主張しましたが,それらの遺言は公正証書であったり法的知識のある者が関与していたりしていたものであって,本件遺言は遺言者自ら作成したものなのでそのような言葉の使い分けを理解していたとは思えないと裁判所によって判断されました。




本件は上告等の手続がされているということです。







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