逃走容疑者の再逮捕

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140109-00000536-san-soci


県警は8日、杉本容疑者を全国に指名手配。約4千人態勢で川崎市の自宅周辺や都県境を中心に足取りを捜査。漫画喫茶やインターネットカフェ、空き家をはじめ、杉本容疑者が立ち入る可能性がある場所を捜索するとともに、友人ら約20人からも事情聴取。警視庁も都県境の幹線道路に警察官を配置するなどして杉本容疑者の行方を追っていた。(1月9日配信のmsn産経ニュースより一部引用)


逃走後,指名手配の上逮捕されたということですが,刑事訴訟の手続上,同じ被疑事実(容疑)で2回逮捕するということは原則としてできません(一回性の原則)。

同じことで何度も逮捕や勾留を繰り返されるとしたら人権保障上問題であるからです。



今回の事件の場合,逮捕後,勾留される前に逃走したため,単純逃走罪(刑法97条)の対象とならず犯罪とならないことから,同罪による身柄拘束はできないということになります。



逮捕後勾留前に被疑者が逃亡した場合にどうするかについては,次のように場合分けされるものと考えられています。



身柄拘束したが,指定の警察署などに引致される前に逃亡した場合(例えば,警視庁の捜査員が地方に逃げていた被疑者を当地で逮捕したものの,新幹線に乗って引致場所に指定された都内の警察署まで連れてくる途中で逃げられた場合)は,まだ逮捕が完了しておらず,元の逮捕状の効力が生きており,特に逮捕状を取り直すことなく,その後の逮捕をすることができると考えられています。

逮捕というのは,その場で捕まえることだけではなく,その後,指定された引致場所(警察署など)まで連れて行った時点で完了すると考えられているためです。



しかし,身柄拘束して,指定の引致場所まで連れて行って引致した場合には,その時点で逮捕状は目的を果たしたとみなされて失効すると考えられています。

今回のケースはこのようなケースに該当します。



この場合には,同一事実での逮捕を繰り返したとは評価できないので,再度同じ被疑事実(容疑)での逮捕状の請求をすることができると考えられており,一回性の原則には反しないとされています。

記事にある指名手配とは同じ被疑事実での新たな逮捕状を取得したということを指しています。



この場合にも,逮捕による身柄拘束後の警察の持ち時間として48時間が与えられているわけですが(刑訴法203条1項),逃げる前に身柄拘束されていた期間を算入するのか(被疑者には有利になる。警察としては忙くなる),改めて身柄拘束した時点から48時間でよいのかについて説が分れていますが,それは逃げたやつが悪いということで後者の考え方に従って運用されているようです。





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