判例タイムズ1392号で紹介された事例です(東京高裁平成25年5月27日決定)。



特別養子縁組を行うためには,原則として実父母の同意が必要とされていますが,虐待などの事情があるときは不要とされています(民法817条の6)。



本件では,父母はそれまでに3人の子どもを事前検診などもなく飛び込み出産したり,三女については自宅で出産後4日目に死亡するなどの事情がありました。

また,本件で特別養子縁組の対象となった四女については,出産後,体調不良のため救急車で搬送された先の病院において,説明のため父母に来院を求めたが来なかったため,病院が虐待通報し,児童相談所に保護されたという経緯でした。




児童相談所では,父母から里親委託に付するという同意を得たうえで,X夫婦に里親委託しました。




その後,父母が里親委託の同意を撤回したため,児童相談所では職権で一時保護の決定を行いました。




そして,父母は,里親委託は認めないが施設入所であれば認めるという意向を示したため,児童相談所としては乳児院への入所が相当であると考えていたところ,四女を預かっていたX夫婦が特別養子縁組の申立をしたというのが本件です。児童相談所としては,実父母から隔離はしつつ,様子を見ながら,適当な時期で四女を父母のもとに戻すという方針であったようです。

おそらく,児童相談所から四女を引き取って乳児院に入所させたいという意向を示されたことから,X夫婦としては,施設に入所させるのに反対で,自らの手元で養育したという希望をもったものと思われます。



裁判所は,本件父母の四女に対する虐待は出生時の放置であり,今後も虐待が行われることは考えられない,出生時の放置が虐待に当たるということを父母は現在では認めていること,また,四女の兄や姉など3人の子どもについては現在父母のもとで監護養育されており,虐待や放置などがされているという事情は窺われない,3人の子供たちに対する養育上不適切な点があったことは否定できないものの現在はそのような点があると認められないといった点を挙げて,本件で特別養子縁組を成立させるためには,原則通り父母の同意が必要であると判断しました。






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