要通訳の刑事事件

テーマ:

私はそんなに外国人事件を扱ったことはないのですが,少し揉めた刑事事件があって通訳の先生(以下「通訳」といいます)にもお世話になったことがあります。




当番弁護で被疑者に呼ばれて,被疑者が外国人の場合には通訳の氏名や連絡先も伝えてもらえます。なお,通訳に関しては,当番弁護だろうが法廷通訳人であろうが,いかなる場合にも,連絡先はもちろん氏名についても絶対に被疑者・被告人・関係者に対して伝えてはならないというのがルールになっています。

当番弁護の場合の通訳は,弁護士会が付けてくれるものです。




また,被疑者弁護の場合,法テラスの見解では,選任された国選弁護人が知り合いの通訳がいれば自分で依頼してくださいということになっていますが,普通,そんな通訳の知り合いはいないので,法テラスから紹介を受けて同行してもらうということになります。



要通訳の外国人事件の場合,日本人被疑者の場合であれば,自分の好きな時間に警察署などに行けばよいのと異なり,通訳との待ち合わせの調整が面倒です。




ほかに仕事を持っていたり家庭を持っている方も多いので,夜の遅い時間でないと無理だとか逆にもっと早い時間でないとダメだといった調整が必要になります。



苦労して調整して駆けつけたら,被疑者の日本語がべらべらで,まったく通訳必要なしだったということもあります。この場合は,次回の接見からは通訳を同行しなくてもよいので助かります。

困るのは,ある程度は日本語で会話できるのだが,ちょっと難しいことになると通訳が必要,というときなのですが,大事な勝負時には同行してもらうということもあります。




当番弁護の場合の通訳料は,少し前までは弁護士が立て替えてその場で通訳に支払い,後で弁護士会に請求するというやり方をしていました。非常に面倒くさいし,一旦とはいえ,自腹切ることになるので,なりたてでカネがない時分には痛いものでした。1時間通訳してもらってだいたい1万5000円くらいでしょうか。




私自身は遭った経験はありませんが,悪徳通訳人の噂というのはあって,通訳の報酬は10分ごとに加算されていく従量制のため,「少し多めやったことにして切り上げてくれ。どうせ弁護士会が立て替えるのだからいいではないか」という要求をされて揉めたとか揉めなかったとかというハナシは聞いたことがあります。



被告人段階になると,裁判所から法廷通訳人が選任されます。

手続の冒頭,法廷通訳人は法廷において誠実に通訳する旨を宣誓することになっています(刑訴法178条,166条)。



法廷通訳人のお仕事は,読んで字のごとく,法廷で通訳することです。

被告人段階で被告人と接見するのに同行してもらって通訳をお願いしたり,文書を翻訳してもらうということは,法廷通訳人のお仕事には含まれません。





もっとも,その都度,別の通訳を紹介してもらったりしていたのでは手間なので,接見の際に法廷通訳人を同行して接見したり(要通訳事件の弁護人になると,裁判所から証明書が発行されます。そこに通訳の連絡先が記載されています),必要な文書を翻訳してもらったりしてもらうこともできます。

ちなみに,法廷通訳人に接見に同行してもらうということは,法廷通訳人の中立性に疑念を持たれるということで,これに反対する考え方も根強くあります。確かに,昼間裁判所で通訳していた人が,夜間に弁護人と一緒に接見に来たら,「Who are you?」という感じですよね。




ただ,こうした法廷外で法廷通訳人にお願いするお仕事というのは,基本的に,弁護人(弁護士)が直接法廷通訳人に依頼している業務ということで,契約関係は弁護人と法廷通訳人との間で発生します。




つまり,法廷通訳人の法廷での通訳業務についての報酬は裁判所が依頼してているお仕事なので裁判所から法廷通訳人に対し直接支払われるが,法廷外でお願いした接見の同行や翻訳といったお仕事についての報酬は弁護人が支払うということになっています。





ゲゲッ・・ただでさえ低廉な国選弁護の報酬の中から自腹で接見同行や翻訳の報酬を支払うのかというと,そうではありません。




その分かかった通訳人費用については法テラスが支払ってくれます。ただ,その通訳人の報酬は一旦弁護人に送金され,弁護人が法廷通訳人に支払うという流れになります。




面倒くせ・・・直接法テラスが法廷通訳人に支払えよと思いますが,法テラスの通訳事件についての案内を見ると,そうするためには法改正が必要なんだそうです(おおげさだな)。またよく見ると,挙句の果てに,弁護人が法廷通訳人の源泉徴収までしてあげなくてはならないようです・・・源泉したお金って,翌月10日に納付するんだったかな,,税理士先生に聞かないといけません。




法廷通訳人に文書の翻訳をお願いすることもできますが,無制限でお願いできるというわけではなく,弁護側の主張立証のために行われた文書の翻訳であることなどという条件があり,典型的には,被告人の外国人の親族が外国語で記載した嘆願書などがあげられています。また,弁護人作成の被告人宛の手紙というのもあります。

料金は,A41枚程度で8000円程度ということです。

該当性に疑義がある場合や1文書3万円超の場合には事前照会せよということになっています。




上記についてはすべて国選事件となる案件を想定しています。私選については,法廷通訳人以外の費用はすべて通訳人との契約,自腹になります。


要通訳事件の場合,通訳する分だけ非常に時間がかかります。

裁判所としても,通常の日本語の事件の2~3倍は時間を見込んで審理計画を立てているようです。



ただ,悪いことばかりではなくて,通訳に時間がかかっている間に,尋問者としては,次の質問を考えたり,態勢を立て直したりすることができます。否認事件の場合などには非常に助かります。








■ランキングに参加中です。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村



■着手金の簡易見積フォーム
(弁護士江木大輔の法務ページに移動します。)


■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。