金融・商事判例1422号で紹介された東京地裁判決です(平成25年4月23日)。



信用保証協会の信用保証とは,金融機関が中小企業に対し融資する際に,信用保証協会の信用保証付きで融資した場合に,融資先が焦げ付いても保証協会が代位弁済してくれるという制度です。




最近,この信用保証協会の保証付き融資を巡って,融資先が反社会勢力(暴力団)であったことが分った場合に,信用保証協会が,「そうと知っていれば保証しなかった」として信用保証契約の無効を主張し,代位弁済を拒否するという事例が目立ってきているようです。




本件もそのような事例の一つで,ある信用金庫が,平成20年と平成21年にそれぞれ信用保証協会の保証を得たうえで融資した融資先が反社会勢力であることが発覚したため,信用保証協会が総額約1億1260万円の保証契約の履行を求めたが,保証協会がこれを拒んだという事例です。



裁判所は,上記の融資・保証時点では,反社会的勢力との一切の取引関係を絶つことを求める政府の犯罪対策閣僚幹事会の指針が公表された後であり(平成19年6月19日付),信用保証協会が公的な機関であることも考えれば,当該融資先が反社会的勢力であったことを知っていたのであれば,信用保証協会は信用保証はしなかったことは明らかであるとしました。



また,本件の保証契約書には融資先が反社会的勢力ではないことを条件とする条項はなかったようですが,そうであったとしても,信用保証に当たっての重要な要素であることには変わりがないとしました。




このようなことから,裁判所は,本件の信用保証契約には重要な要素の錯誤があり,無効であるとして,保証契約の履行を求める信用金庫の請求を棄却しました。




なお,錯誤があったとしても,重過失が認められる場合には錯誤無効を主張することができませんが(民法95条但書),信用金庫が融資先と面談したうえで持ち込んだ以上,信用保証協会が調査したとしても,融資先が反社会勢力であると知ることはできなかったはずであるとして,信用保証協会に重過失はないとされています。




原告である信用金庫側は,信用保証協会が独自に融資先が反社会的勢力であるかどうか調査すべきであったのにこれを怠ったなどという主張も合わせててしましたが,認められることはありませんでした。





本件は控訴されているということです。






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