判例時報2188号で紹介された東京地裁の事例です(平成24年11月27日判決)。以下,判決文による事実認定です。




被相続人が大手消費者金融会社から借入があったことから,相続人が弁護士に相談したところ,弁護士が消費者金融会社から取引履歴(これまでの貸し借りを一覧表にしたもの)を取り寄せなかったり,取引履歴の送付を受けたのに利息制限法に基づく引き直し計算をしませんでした。

平成19年のことです。




平成19年といえば,消費者金融会社に対する過払金返還請求が花やかなりし頃でした。




消費者金融会社から100万,200万円という請求を受けていた人であっても,取引履歴をきちんと引き直し計算すると,逆に,100万,200万円それ以上の過払い金の返還を求められるという案件がごろごろ転がっていた時代でした。



本件で当該弁護士は次のような処理をしてしまいました。

・アコム→取引履歴の開示請求せず送付も受けなかった。本来アコムから約58万円の返還を受けられたはずなのに,債権債務なしのゼロ和解(過払い金返還請求権の放棄)をした。

・アイフル→取引履歴の計算書が送付されたが,引き直し計算しなかった。本来の債務としては約21万円であったのに,200万円支払ったうえで,アイフルが不動産に付けていた担保権抹消をするという合意をした。

・武富士→取引履歴の開示がされた上に,武富士担当者から「過払が発生しているのでゼロ和解としてほしい」と持ちかけられゼロ和解した。本来約162万円の過払いだった。

・プロミス→取引履歴の送付を求めることもなく,プロミスの言い値である約50万円を支払う合意をした。本来の残債務は約30万円であった。




本来であれば,戻ってくる過払い金の中で負債の清算ができた筈の案件でしたが,当該弁護士は,遺産である不動産を売却して清算することを提案してしまい,しかも,その不動産を裁判所の認定では時価よりも300万円程度は安く売却してしまったということです。




裁判所は,取引履歴の開示を求めて引き直し計算をしたうえで本件債務の処理をすべき注意義務があったのにこれを怠ったとして弁護士の過失を認めたうえで,本来であれば受け取れるはずだった過払い金,余分に支払った債務を損害として認めました。

また,不動産の売却に関しても時価よりも安く処分させた点についても弁護士の不注意を認めました。




損害賠償額としては約1364万円となっています。





本件は控訴されているようです。







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