判例タイムズ1386号で紹介された最高裁判決です(平成24年12月21日判決)。



共有物である不動産を一人の共有者が第三者に賃貸するなどして賃貸料のすべてを独り占めしているような場合,他の共有者は,自分の持分割合に応じた金額を不当利得として,独り占めしている共有者に対して請求することができるとされています。



既に発生している分の賃料については請求できることは当然ですが,裁判が終結した後(口頭弁論終結時点よりも後のことを言います)に発生する「であろう」賃料についても,請求できるかどうかという点が論点となっています。

このような将来の請求権について今の時点で請求してしまおうというのを「将来給付の訴え」と言って民事訴訟上,「あらかじめ請求する必要がある場合」に限って認められています(民訴法135条)。



将来給付の訴えが認められてしまうと,敗訴した方の当事者(債務者)は,将来にわたって支払を強制されることになり,それを免れるためには,そのような請求権が既に消滅したということを自分で証明しなけれはならなので,債務者にとって証明しやすいような場合でなければならないということになっています。



将来給付の訴えというのはあまりすることはないのですが,例えば,マンションの管理費をずっと滞納していた滞納者に対し滞納分に加えて将来滞納した場合に備えて将来分も請求するとか(認められないことも多い),分割支払いの約束をしていたが懈怠約款を付け忘れたために一括請求できなくなってしまったような場合に提起することがあります。




共有物から不当利得している人に対する将来給付の訴えが認められるかという点については,既に昭和63年3月31日の最高裁判決があり,駐車場として賃貸していた事案において,将来にわたって賃料が継続的に入ってくるかどうかということは分らないのだから,将来給付の訴えは認められないということになっています。




本件でも,駐車場の事案でしたが,結論として裁判官の全一致で将来給付は認められないという判断となっています。




ただ,千葉勝美,須藤正彦裁判官の補足意見が付いており,あくまでも駐車場の場合には常に契約車両で埋まるということもなかなかないだろうし,短期契約の自動車もあって将来にわたって駐車場賃料が継続的に入ってくるということは言い難いのだから,将来給付の訴えは認められないという結論は妥当だが,それ以外に確実に賃料が入ってくることが明らかなような場合には妥当しないのではないかという示唆がされています。




なお,将来給付の訴えが認められない場合には,任意に支払いがされない限りは,他の共有者としては再び既発生の賃料部分についての不当利得返還請求をしなければならないということになります。





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