判例時報2185号で紹介された大阪地裁平成25年1月31日付の決定です。



株式会社の定款に株式を自由に譲渡できないという特約が付いている場合,その会社の株式を譲渡するためには取締役会(場合によっては株主総会)の決議が必要となります。




共同出資した知人同士で後になって仲たがいしたり,同族会社で株式を持ち合っている親族間で不和になったりすると,株式の制限譲渡の問題で揉めることがあります。




株式の譲渡制限の解消に関しては会社法に詳しい規定がありますが,結構ややこしく,また,手続の時間制限がタイトであったり,供託のような一般の方は普段あまりしたことがないような手続が必要になるなどするため大変な思いをすることがあります。




株式の譲渡を承認するように求められた会社がこれを拒否して会社自らが買い取る又は会社にとって好ましい別の人に譲渡するように指定することもできますが,そういった場合,株式の売買価格を巡って争いになることがあります。

株式を買い取ることになった会社または指定された買取人は,一応,会社資産の簿価を基準として供託することになっていますが,株式の譲渡を希望する側としては株式の価値はもっと高いはずだと主張し,買い受ける側としてはもっと安いはずだと主張することになり,相互に歩み寄りができなければ,裁判所が株式の価格を決定するということになっています。

といっても,譲渡制限のある会社の株式価格は,市場価格がないので,その決定に難航することになります。




本件は,不動産を含む資産管理会社の譲渡制限に関する株式価格の決定の事案ですが,最初に供託された会社の資産簿価を基準とした供託金額は約7億6571万円でしたが,最終的に裁判所が決定したのは約8億9000円となりました。譲渡承認を求めた側は,約11億4200万円を主張し,会社(指定買取人)側は,高くても約8億4400万円程度いう主張でした。

結局,株式を買い取る側(カネを出す側)の支払許容限度額に少し色を付けた程度という感じで,「まあまあ,このあたりで」という雰囲気が漂っていますが(・ω・)/




株価の計算方法にはいろいろな方法がありますが,譲渡承認を求めた側が主張した時価算定法(いわば会社資産というストックをもって静的に固定された時点で算定するというもの)については,本件会社が今後も事業を行っていくのであるから,不適当とされています。




そして,裁判所が依頼した鑑定人の鑑定結果を採用し,不動産の収益価格を起訴とする収益還元法を採用し,非流動性ディスカウント(市場性がなく簡単に売却できないので価値を割り引く)を15パーセントとするなどしたうえで,上記の株価と判断されました。




なお,本件では裁判所が選任した鑑定人による鑑定がされており,その費用が1104万円であるということです(・ω・)/それぞれの当事者に按分負担が命じられています。

鑑定人の鑑定費用というのは,対象となる資産の種類や複雑性などにより異なりますが,株価算定事件の鑑定費用というのはどんなに安くても100万円程度はするなどと言われているようです。本件では,上記株式価格から見ても分かるように高額な対象物件であり計算も複雑ということでそのような高額な鑑定費用となったのでしょう。




この鑑定費用がネックとなって,株価算定事件では,鑑定まで実施されずに和解という形で終了することも多いものです。





なお,本件は抗告されているということです。









■ランキングに参加中です。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村



■着手金の簡易見積フォーム
(弁護士江木大輔の法務ページに移動します。)


■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。