判例時報2180号で紹介された事例です(甲府地裁平成24年10月2日判決)。



本件では,病院の通所リハビリステーションで介護の業務に従事していた男性(昭和39年生まれ)が自殺し,労働基準監督署は,自殺を業務上災害として認めて遺族に対して労災給付をしています。

自殺した男性は,真面目な性格で,病院や少年野球の野球部の監督な度も務めていたとされています。もともとは病院での調理師の業務に従事していましたが,調理部門が外部委託されたことに伴い,平成17年に,介護部門に異動になったということです。



労災給付は保険ですので,使用者が無過失であっても給付されるものですが,遺族(妻と子ども二人)は,さらに使用者である病院には,労働者である自殺した男性を長時間勤務させてうつ病を発症させた,心身の健康に配慮すべき義務を怠ったとして,病院の安全配慮義務違反(過失責任)を主張し,慰謝料など労災給付はカバーされない損害の賠償も求めて,提訴したのが本件です。




本件で,男性の自殺前6か月間の残業時間は約100時間に及び,特に自殺前1か月間のそれは160時間超というものでした。




従事していた業務の内容としては,利用者の送迎や入浴,食事,排せつの介助,利用者とのレクリエーションのほか,車両の管理や使用者送迎表の作成といった事務的な業務もありました。

裁判所の指摘では,肉体的な負担のほかに,入居者に事故が起こらないように気を使わなければならないという点で精神的にも負担がかかる業務であったとされています。



このような業務に,前記したような長時間の残業も加わったことから,男性の業務は過重なのであったとされ,また,そのことと自殺との因果関係も認められると判断されました。




使用者である病院側からは,男性が自殺する3か月前に,「財形貯蓄をしたい」とか当直業務を積極的にやりたいというなどの前向きな言動が見られたことから,うつ病とは相いれないものであるとして自殺との間に因果関係がないという反論がされましたが,受け入れられませんでした。




その結果本件では総額約7000万円の損害賠償が認められています。




本件は控訴されているとのことです。







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