本人の転居と後見事務

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後見事件の管轄は,本人(被後見人)の住所地を管轄する家庭裁判所になります(家事事件手続法117条)。




管轄がどこにあるかを定める基準時点は申立の時点ですので(家手法8条),

申立後に本人が転居したとしても,原則として,申立時点で管轄権のある家裁が後見事件を取り扱うということになります。




なお,本人の住所地というのは,基本的に住民票がある場所ということになります。






後見が開始した後に本人が転居するということはよくあることで,東京の場合ですと,千葉や埼玉などの近県の施設に移転するということは珍しいことではありません。





千葉,埼玉辺りですとそれほどの労力でもないことも多いのですが(といっても,千葉でも勝浦とか銚子,埼玉でも群馬とかに近い方ですと大変ですが),稀に東京に居住してたいた本人が北海道とかに転居してしまうということもあります。




高齢者の場合には,遠方の親族が面倒を見るために引き取るということであれば別として,施設が見つからないからという理由でそういったことはあまりないのですが,障がい者施設とかですと,施設の絶対数が少ないため,そういうことも比較的あり得ることです。




その場合でも,後見事件の管轄はそのままですので,後見人も東京のままということになりますが,会いに行くこともなかなかままなりませんので,この場合,後見人交替ということも視野に入ってくることになります。




といっても,東京の家裁が北海道に住んでいる人を後見人に選任できるのかという問題もあり(親族であれば特に問題もないのかもしれませんが,弁護士などの専門職の後見人の場合には,家裁は弁護士会等の推薦を受けて後見人を推薦することになっているので,東京の家裁が北海道の弁護士を後見人に選任できるのかという問題が発生する),後見事件自体の管轄替え(移送)ということが問題となります。





家事事件手続法には管轄の移送についての規定があり,事件処理のために特に必要があるときは別の家裁に移送ができるということになっているので(家手法9条2項),この規定を活用して,北海道の家裁に事件を移送して北海道の家裁に後見人を選任してもらうということも考えられるものと思われます。





もっとも,その場合でも,移送とほぼ同時に後見人の交替が円滑に行われるように事前に北海道側の後見人候補者などとは事前に調整しておく,ということになると思います。




なお,管轄替え(移送)ということまではない事案であっても,本人が転居して住民票が変わった場合には東京法務局の後見担当係に対して,住所変更の届出をしなければならず,裁判所に届け出れば後は裁判所が自動的に手続してくれるものと思っている人もいるので注意が必要です。






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