家裁月報65巻3号で紹介された案件です。



面会交流については履行の確保が難しいという問題がありますが,たまに,未成年者が児童養護施設に入所しているという場合があります。




児童施設に預けられるにいたった経緯にもよると思いますが,児童施設では,親権者ではない親からの面会要請があったとしても,親権者からの承諾がない限り会わせないというのが普通ではないかと思います。又は,離婚前で双方が親権者であっても,一方の親権者が施設に「預けた」という形になっている場合(施設の費用が預けた者の負担になる),預けた側の親権者の同意がないと会わせないという場合もあります。

私も,以前,似たような件でそうしたことを施設側から「親権者の承諾を得てもらうか,(親権者か監護者を定める)家裁の審判でも持って来てほしい」と言われたことがあります。その件では,施設側としても,「会わせたいのはやまやまなのだが・・・」という態度でしたが,やはり,無理なようでした。




紹介された本件では,離婚に際して,未成年の子3人について妻を親権者と定め,その後,父親は特に問題なく,子どもたちと会って交流をしていたようですが,妻が内縁の夫と交際を始めたところ,内縁の夫が子どもたちに身体的な虐待を行っている疑いありということで,子どもたちが児童施設に保護されたという経緯でした。




施設に入所してからも,母親の同意のもとで,父親は子供たちと会うことができていましたが,父親が親権者変更の意向を示すようになったことから,母親が面会交流について難色を示し始め,父親は子供たちと手紙などのやり取りしかできなくなってしまい,面会交流を求めて父親が母親を相手方として,調停を

申し立てたということです。




しかし,調停は不成立となり,家裁裁判官の審判に委ねられることとなりました。




家裁は,子どもたちに面接して意向調査した家裁調査官の報告書の内容(父母と一緒に生活していた際の思い出を述べたり,父母双方に対して肯定的な感情をしてしたりしていること,父親とまくら投げをしたいと述べていることなど),家裁から児童施設宛の調査嘱託に対する回答の内容(面会交流が望ましいと考えていることなど)から,父親が子どもたちと面会して交流することについて支障はないとして,父親が面会時間などについて児童施設と協議したうえで子どもたちと面会できること,母親は面会交流について妨げてはならないということを内容とする審判を下しました。




本件は特に抗告されることなく確定したということです。




審判では,将来的に子どもたちが施設を退所した後も父母双方が子の福祉に配慮して面会交流できるように期待とすると結んでいますが,施設を出てしまった後は,父母で直接面会のことを協議する必要があり,「子どもが会いたくないと言っている」などといわれて面会できなくなるということも考えられますので,変な話ですが,施設に入所したままでいてくれた方が面会交流が促進される面があるということもまた事実です。





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