私のような一般民事を扱う弁護士ですと,「貸したお金が返ってこない」という相談が多いのですが,たいていの場合,返済が滞った時点で相談されても,なかなか難しい状況であることの方が多いのです。



返済が滞り督促しているうちに,相手と連絡が取れなくなったり,相手の資力が無くなっていたりということで,せいぜい内容証明を出してあげるのが関の山か,訴訟を起こすにしても「弁護士費用,裁判所費用をかけて訴訟して勝訴したとしても回収はできないかもしれない」という前提のもとでの受任となることの方が多いわけです。



また,相手の返済が厳しくなった時点で,保証人を付けてもらったり担保を付けてもらおうとしても,応じてもらえないことも多いですし,その時点で公正証書にしてもらおうとしても相手に警戒されてうまくゆかないことも多いものです。




ですので,まとまったお金を貸す場合には,単なる契約書ではなく,公正証書にすべきです。



お金を貸す時点では,力関係としては貸す方が発言権が強いわけで,貸すための条件交渉をしやすい立場にあります。

お金を借りたい方としても,最初から踏み倒そうとしている場合は別として,きちんと返そうと思っている以上は公正証書にすること自体を拒む必要はないはずです。むしろ,公正証書にすることを嫌がるような相手にはお金を貸すべきではありません。むしろ,この条件を呑むかどうかをお金を貸すか貸さないかの一つのメルクマールとすることもできるでしょう。





ご存じのとおり,執行認諾文言を付けた公正証書を作成しておけば,返済条件が護られなかったときは,一括して返済を求めることができ,強制執行をすることもできます。

訴訟にするというのは,要するに,強制執行するための文書(判決文)を獲得するために行うものなのですから,最初から強制執行可能な書類を整えておけば,後から訴訟する手間ひまも省けるというわけです。




公証人に対して支払う公正証書の作成費用は金額に応じてかかりますがそれでもそれほど多額ではないですし,弁護士に公正証書の作成手続を委任したとしても,それほど検討も必要としない単純な条項なのであれば,私の場合,数万円から10万円程度です。




後になって,回収できるかどうかも分からない訴訟のために弁護士費用として数十万円支払うというのであれば,最初っからコストをかけてきちんと保全しておく方がよほど合理的だと思います。




ですので,私は,顧問先などから取引先に対してお金を貸したり,投資したりする又は取引代金の繰り延べをするという場合の相談を受けた場合には公正証書にしておくようにアドバイスしています。

契約条項の内容について細かな点で有利か不利かということについては敏感であっても,公正証書にしておくという発想については案外と欠けている方も多いものです。



ここのところ,立て続けに「最初から公正証書にしておけばよかったのに」と感じられる案件が多かったので,記事にしてみました。






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