判例時報2174号で紹介された事例です(大阪地裁平成24年11月12日)。




本件は,適格消費者団体が,不動産賃貸業を営む業者に対し,その業者が使用していた賃貸借契約書に,「成年後見,保佐の開始を受けた場合には契約を解除できる」とするなどの条項があったことについて,消費者契約法に違反する無効なものであるとして,「今後,賃貸借契約を締結する場合には,賃借人に後見開始等があった場合に契約解除の意思表示をしてはならない」「そのようなことが記載された賃貸借契約書を廃棄せよ」ということを求めた訴訟です。




裁判所は,成年後見等があったとしても賃借人の資力とは無関係であってかえって適切な財産管理が行われることにより賃料債務の履行が確保されるのであるから,このような条項は,消費者に一方的に不利なものとして消費者契約法に違反しており無効であるとして,請求を認めました。




なお,原告は,ほかにも,次のような契約条項が消費者契約法に違反するとして同様の請求をしましたが,これらについては棄却されています。



・賃借人に破産や民事再生,仮差押え,仮処分などがあった場合に契約解除できるとする条項・・・賃借人の経済的破綻を表す事実であり,このような事実があった場合に契約解除できるとすることは不当ではない




・賃借人が明渡を履行しない場合に賃料の2倍の損害金を損害賠償として定めること・・・賃借人は明渡をすれば良いだけであり,賃貸人としては明渡のための訴訟や強制執行といった損害が生じることも考えれば,このような定めも不当であるとはいえない 



・解除のための催告手数料として3150円を定める条項・・・実際に要した費用が3150円以下であることも考えられるのでその点では賃借人の義務を荷重するものといえるが,賃借人が賃料の支払いという基本的な義務の履行を怠っている場面であることを考えると賃貸人のコストを負担させるこのような条項も不当とはいえない



・クリーンアップ条項(建物を明け渡す際の清掃代として20平方メートル未満は2万1000円といつた定額出の支払いを義務付けるもの)・・・本来賃貸人が負担すべき通常損耗の回復費用を賃借人に負担させるという点で賃借人の義務を荷重するものである。しかし,賃借人にとっては,床面積に応じた定額負担であることから負担について明確に認識できること,また1平方メートル辺り1000円程度いう負担であることなどから,不当とはいえない。



判例時報の解説によると,損害金を賃料の2倍と規定することについては,
消費者契約法に反するものではないというのが下級審判決の流れであるということです。



クリーンアップ条項に関しては,実際の現場でもよく問題となるところであり,賛否両論あるところでしょうが,きちんと金額が事前に明確にわかるようになっているかといった規定の仕方がポイントになりそうです。




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