3月17日付の日経新聞オンラインで,成年後見の審判の取消後に大手証券会社から勧誘された外国債権を購入した80歳代の女性が,証券会社に対して約982万円の損害賠償を求めた事案で,大阪高裁が,請求を棄却した一審を破棄して約660万円の損害賠償が認めたという件が報じられていました。




同記事によると,女性は認知症で成年後見の開始審判を受けたようですが,約2年後に症状が改善したとして後見開始の審判の取消がされましたが,その直後に外国債券の購入を勧誘されたということです。




一審は取引する判断能力はあったとして請求棄却しましたが,高裁では,「判断能力は徐々に回復しているという程度」であったとして,勧誘は違法としたということです。




本件では成年後見開始前にも取引はしていたようでその規模は約200万円程度であったようですが,成年後見審判の取消後は約1000万円に規模が拡大しているということも重視されているようです。




後見レベルの認知症により後見開始となった場合,その後の症状改善により開始審判が取り消されるということは事例としてはあまり多くないと思います。



後見が開始されたということは「判断能力が低下している」ということについて裁判所がお墨付きを与えたともいえるわけですが,逆に,後見が取り消されるということは「判断能力が回復した」ということのお墨付きを与えたとも捉えられるわけで,本件では,後見開始が取り消されたのだから能力は回復したのだろうということで証券会社側としても争ったものと思います。

そうすると,判断能力の程度が分らない後見が一度も開始されていない高齢者よりも,後見が取り消された高齢者の方が,「能力が回復した」という裁判所のお墨付き的なものがある分だけ,争いにくくなってしまいそうです。





記事は分りませんが,訴訟では,後見開始が取り消された経緯や取消の際の医師の診断書,場合によっては鑑定書,カルテ,家裁の記録といったものも取り調べられたのではないかと思います。





後見開始の取消という判断が正しかったのかという点も含めて興味のある事案です。




なお,記事によると,判決は確定しているようです。






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