このブログでもたびたび取り上げていますが,銀行預金を差し押さえる際には店舗名の特定が必要であることから,債務者の情報を持たない債権者としては回収の手段がなく困るところ,さまざまな工夫をして債権差押さえの申立をすることになります。



そのうちの一事例ですが,店舗名を特定せずに,店舗の内最大の預金額を有する店舗にある預金を差し押さえるというやり方が適法かどうかが争われました。




この点については,東京高裁の決定が適法説と不適法説に別れていたところ,最高裁平成25年1月17日は不適法という判断をしました(金融商事判例1412号など)。



最高裁の決定では簡単に抗告を棄却しただけですが,もととなった東京高裁の決定(平成24年10月24日)によると理由としてはつぎのようなものです。すなわち




このような申立てによる差押えを認めた場合,大規模な金融機関である銀行は,全ての店舗の中から預金額最大店舗を抽出する作業が必要となるが,その際,銀行において,全ての店舗の全ての預金口座について,まず該当顧客の有無を検索した上,該当顧客を有する店舗における差押命令送達時点での口座ごとの預金残高及びその合計額等を調査して,当該店舗が最大店舗に該当するかを判定する作業が完了しない限り,差押えの効力が生ずる預金債権の範囲が判明しないことになってしまい,速やかに確実に差し押さえられた債権を識別することができるものであるということはできない,ということです。



しかし,本当にそうなのかなというのは実に怪しげです。




成年後見の事案などで銀行の支店に行くと,窓口のお姉さんから「ほかにも口座をお持ちではないですか?」と聞かれて,知らなかった別の支店の口座が判明したりすることがあります。




窓口の端末で簡単に口座情報に一括してアクセスすることができていると思われ,裁判官もこういう経験をしていれば,難しいことを考えずに銀行の言っている屁理屈がおかしなことはすぐに気づくはずなのですが。




勿論,口座取引を停止することまで端末上で簡単にできるかどうかまでは知りませんが,口座を停止するまでの若干のタイムラグに債務者に預金を引き出されてしまった場合などについては,銀行を免責するなど,別の手当てを考えるべきなのではないでしょうか。







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