判例時報2171号で紹介された事例です(東京高裁平成24年9月26日)。




弁護士が個人の債務整理事件を受任した場合,原則として,消費者金融会社や信販会社などに対して債務整理開始通知(受任通知)を送付するのが最初の仕事になりますが,場合によっては過払いになっている場合があり,その場合,その会社に対してはそもそも「債務」整理開始通知ではないということになります。




もっとも,本当に過払いになっているかどうかは取り寄せた取引履歴を引き直し計算してみないと分りませんので,通常は,過払になったことが確実になった時点で過払になったので●●万円お支払いくださいという請求書を出すということになります。




本件では,依頼人の最終取引日が平成13年2月23日で,過払い金が発生している場合には10年の経過で消滅時効となってしまうところ,弁護士による受任通知が消費者金融会社に対して届いたのが平成23年2月18日でした(時効完成の5日前,スリリングです)。




そして,その受任通知には,取引履歴の開示を求めるとともに,「過払い金が発生している場合には,本書面をもってすべての過払い金の請求をします」という記載がされていました。




この記載が民法153条の「催告」に当たるかどうかが争われました。「催告」に当たれば1回だけ,時効完成が6か月間延長され,その間に訴訟提起すれば時効が中断するということになっています。本件では,平成23年4月15日に過払い金の返還訴訟が提起されました。




一審の簡裁,控訴審の地裁とも「催告」に当たるとし,消費者金融側の上告を受けた高裁も,その判断を支持しました。




「催告」といえるためにはある程度債権が特定されている必要はあるものの,本件では,依頼人と消費者金融会社との間には基本契約が一本しかなく,依頼人の住所や氏名で当事者の特定も出来ており,どの債権かが分かる程度の特定がされていたとされました。




このような考え方で行くと,基本契約が何口かあって絡み合っておりすぐには過払いになっているかどうかが分らないという状況だと危ないということになるのかもしれません。






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