即決和解

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簡易裁判所の手続に即決和解という手続があります。正式には訴え提起前の和解というのですが,多くは即決和解と呼んでいます。




これは,簡裁で和解条項を確認して調書にしてもらうことで,その調書に基づき強制執行することができてしまうというものです。

和解条項は事前に簡裁に提出しておき,チェックを受けて,1か月程度後の期日に,即決和解を申し立てた側(申立人)と相手方が,内容を確認して成立します。




裁判所の調書ですので強制執行できるというのがメリットですが,同じような書面としては公証役場で作る公正証書というものがあります。

ただ,公正証書で強制執行できるのは金銭債権に限られますので,簡裁での即決和解は,金銭債権以外で強制執行が必要となりそうなもの,多くは,不動産の明渡を必要とするものに用いられています。



投資ファンドが不動産に投資する際に,現在の賃借人に退去してもらうことを条件とするような場合に,明渡義務を認めさせた即決和解をさせるようなことがあります(勿論,多くの場合,その対価として,立退金などについても条項として定められることになります)。



実務上,即決和解は当事者間で和解内容の話が付いていることが前提であり,争いの決着がついていないのに即決和解を申し立てても,それは調停か訴訟で解決しなさいということになります。




「当事者間で和解内容の話が付いている」ということから,たまに,申立人の代理人をしている弁護士などから,「もう話はついているんで,形だけ,相手方の代理人になって」と頼まれることがあります。




ただ,この言葉を真に受けて,「期日に出席するだけの簡単なお仕事」ということで,何の確認もせずにひょこひょこ期日に裁判所に行って和解をしてくると,後で懲戒されるなどのリスクがあります。




依頼人の意思確認を怠ったというのは,弁護士が懲戒される理由としてわりと多いものですが,即決和解の場合でも,当事者である自分の依頼人に和解内容の意思確認をきちんと取っておかないといけないのですが,即決和解の場合,頼まれるのが知り合いの弁護士であったり,旧知の不動産会社であったりして,ついつい自分の依頼人が誰なのかということを見失いがちになってしまうのです。




そんなわけで,私はあんまり即決和解という手続は好きではありません。

訴訟や調停で和解するという場合には,それまでの間に依頼人と十分に打ち合わせたりやり取りがあったから和解に至るので,後から「こんな和解するつもりじゃなかった」と言われるようなリスクは少ないのですが,依頼人が単発の相手方である即決和解の場合には私はもちろん和解内容を十分に説明した書面を送るなどして確認していますが,それまでのコミュニケーションが不足していることから一抹の不安を隠せないところもあるためです。

一度,きちんと和解内容も確認して,実印と印鑑証明書で同意書も送ってきていた方が,期日に直接来たことがあり,「何で来たのですか?」と聞いたら,「やっぱり不安になった」と言われたことがありました。かえって,来てくれてよかったと思いました。





また,顧問先などから即決和解の申立を依頼された場合には,依頼人とのコミュニケーションは問題ありませんが,本当に相手方が来てくれるのか,ハナシがついているはずなのに期日当日に違うことを言わないかといった不安を抱えることになります。

また,即決和解を申し立てたいという場合,期日的に切迫していたりすることがあります。

例えば,先ほど言った,投資ファンドが即決和解を望む場合などについて言えば,その日までに即決和解ができていないとファンドからの投資が実行されなくなるなどのリスクを抱えていることもあり,別に私の責任ではありませんが,心理的に疲れます。






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