判例タイムズ1383号で紹介された判決例です(福岡高裁平成24年4月10日)。




あるゴルフ場経営会社が,昭和45年ころから長い間にわたってレストランや売店の営業を委託していたA社に対して,委託料の引き上げを求めたところ,A社がこれを拒否したため,委託契約を解除することになりました。




その際,A社から,補償金の支払いを求められたことから,当該ゴルフ場運営会社は2000万円を支払いました。




しかし,その2000万円は払う必要のないものではなかったのかとして,ゴルフ場運営会社の株主が,補償金の支払いを決議した取締役らに対して,会社に損害を与えたとして責任追及したのが本件です。



支払われた補償金2000万円の内訳として,A社が雇用していたパート従業員の退職金,功労金とか,A社が営業を継続できなくなったことによる営業利益の逸失損害といったものなどに加えて,取締役は,もともとA社からの請求額が4000万円であったところを2000万円に減額したのだということを主張しました。




一審は,取締役の主張を認めて株主敗訴となりましたが,高裁では,本当に支払わなければならなかったのは約700万円弱であり,2000万円との差額分については支払わなければならないものではなく,取締役としての必要な検討を怠ったとして,取締役に対して損害賠償を命じました。




法律的な一つの論拠として,本件でゴルフ場運営会社とA社との間の契約関係は,「委任契約」であり,委任契約はいつでも解除ができるのだから,A社としてはいつ解除されても文句はいえない筈であり,したがって,解除された後の営業逸失利益のような損害はそもそも損害に含まれないのだという点を挙げています(民法651条の解釈)。




A社が請求できるのは,突然解除されたことで正社員に対して支払わなければならなくなった退職金など,損害の範囲が限定されるのだとしました。A社はパート従業員についての退職金も請求していましたが,これはゴルフ場運営会社が支払う必要はないものであったとしています。




また,取締役たちは,2000万円の支払いについては「経営判断」であるという主張もしましたが,裁判所は,必要な検討をしたうえで2000万円という金額を決めたとは認められないとして退けています。



うーん,普通は,多額の支払いを要求された場合,弁護士などにも相談して出来る限り支払を絞ろうとする筈ですが,,,,何か裁判には主張されない「オトナの事情」でもあったのでしょうかね(  ゚ ▽ ゚ ;)  勿論,ただの憶測です。


本件は上告受理の申立がされています。





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