判例タイムズ1382号で紹介された事例です(東京地裁平成23年5月25日)。




ある会社が運営する総合情報サイトにおいて,「Eメールによる法律相談」という有料サービスを開始した行政書士Aに対して,これを見た司法書士Bが「その行為は弁護士法に違反する」とサイト運営会社にメールを出したところ,サイト運営会社は,本サービスを削除し,その旨を両者に対して伝えました。




その後,当該ウェブサイトのQAコーナーに,養育費の件での質問が書き込まれ,行政書士Aが回答を書き込んだところ,司法書士Bが,この件についても弁護士法に違反する旨の書き込みを行いました。



この書き込みがされたのと同じ日のうちに,A行政書士は,B司法書士に対してメールを送るとともに,法務局長に対してB司法書士の懲戒を求める申立てをしました。この懲戒請求は,約1か月後に処分しないとの決定がされています。




これに対して,B司法書士は,メールを受け取った翌日にA行政書士宅の敷地内に立ち入ったうえで郵便受けに答弁書を投函しました。





さらに,A行政書士は,B司法書士に対してメール送信した約2週間後に,上記の書き込みや敷地への立ち入りが不法行為を構成するとして損害賠償請求訴訟を提起したのが本件です。




さらに,B司法書士に対する電子メール送信の1か月後には,検察庁に対して,偽計業務妨害や脅迫罪などで刑事告訴もされています。刑事告訴については,約4か月後に不起訴処分とされています。




また,B司法書士の訴訟代理人となった弁護士に対しても弁護士会への懲戒請求も行われていますが,懲戒しない旨の議決がされています。




B司法書士の側も黙ってはいなくて,上記の懲戒請求,刑事告訴,訴訟提起が不法行為になるとして反訴提起しました。




裁判所は,B司法書士のQAへの書き込みについては,一般の読者をしてA行政書士が法律に違反する行為をする者であるとの印象を抱かせるものであるから,A行政書士の社会的評価を低下させる行為ではあるが,それは本ウェブページの閲覧者に対してA行政書士の書き込みが弁護士法や司法書士法に違反する旨の警告をしたものであり,公共の利害に関わり,その目的は専ら交易を図る目的であった,また,本件書き込みは真実であったとして,違法性を欠くものであるとして,B司法書士の書き込みについては不法行為とはならないとしました。




また,B司法書士がA行政書士宅の敷地に立ち入って答弁書を投函した行為については,立ち入りが数秒間であったことや自宅と事務所が兼ねられていたものであったことなどから,不法行為とはならないとしました。




逆に,B司法書士に対する懲戒請求は,その法律上の根拠がないことを知りながらあるいは普通の注意を払えばそのことを知り得たのにあえて行ったものであるとして,不法行為を構成するとしてB司法書士の反訴を認めました。




また,刑事告訴についても同様に不法行為となるとしました。




ただ,B司法書士に対する訴訟提起については,訴えの提起が裁判制度の趣旨に照らして著しく相当性を欠くとまでは言えないとして,この点については不法行為とはならないとしました(憲法上,裁判を受ける権利が保障されていることから,懲戒請求や刑事告訴よりも違法となる余地を狭く解しているものと思われます。)。




結局,本件ではA行政書士の請求は全部棄却,B司法書士の請求は弁護士費用を含めて110万円が認められました。



本件は控訴されています。








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