判例時報2164号で紹介された事例です(東京地裁平成24年8月8日決定)。




平成20年9月,ある会社の代表者が会社とともに破産手続の開始決定を受けました。

申立時の債権者は16名,債権額は約8.9億円であったということですので,結構な規模の破産案件です。



会社の破産手続きは平成22年2月に終了しましたが,代表者個人の破産手続は平成24年7月までかかっていますので,足かけ約4年間にも及ぶ長期未済案件となっていたようです。現在の運用では,通常,何の問題もない破産事件であれば3か月程度で終結しますし,勿論,管財業務の内容によってはもっと時間がかかることも多いとはいえ,4年間というのは結構な期間です。



というのも,この件では,代表者個人による財産隠匿行為が見つかり,その処理のために破産管財人はてんてこ舞いさせられたようです。



例えば,代表者は破産申立時の資産目録にある預金口座の存在を記載せず,その残高は約225万円にも上っており,その他出資金や満期金なども含めると約404万円もの価値のある口座の存在を記載していなかったということです。

この口座の存在は破産手続後に管財人に発覚しました。その際,代表者はこの口座を解約しようとしていたということです。




また,代表者名義の賃貸アパートや駐車場の賃料入金口座を隠しており,これについても破産手続後に管財人にバレています。



さらに,管財人が任意売却に伴ってだと思いますが,自宅建物から退去するように求められたのに,退去せず,裁判所から引渡命令(破産法156条)がされたのにさらに退去を拒み,管財人が強制執行の申立をするに至ってようやく退去したということです。




また,未登記建物を破産手続後に登記したうえで第三者に移転登記,管財人が抹消登記手続のための訴訟提起せざるを得なくなるなどもしています。




上記のような代表者(破産者)の行為は,破産法に定める財産の隠匿,管財人の職務妨害という免責不許可事由に該当し,さらに,裁量によっても免責させるのは相当ではないとして,免責不許可となりました(管財人の意見も免責不相当)。



免責不許可となれば,債務は負い続けるということになります。何のために破産手続を採ったのか知りませんが,当然の結末ですね。



しかし,申立代理人の弁護士がいたはずですが,何をしていたのでしょうか。。コントロール不能の状態に陥っているようです。



なお,この件が抗告されているかどうかは不明です。






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