最近,久しぶりに東京地裁の民事20部に法人と代表者個人の2件の破産の申し立てをしました。



大手の債務整理事務所さんに流れてしまっているのか,本当に破産や個人再生の申立をすることがあまりなくなりましたね。




一説によると破産の件数自体が減少傾向にあるようですが,例の中小企業金融円滑化法の効き目が切れてくる時期にはまだ増加に転じるのでしょうか。




それはそうと,法人の破産の場合,東京地裁では100パーセント管財人が付く管財事案になります。

また,法人の代表者のみの破産申立というのも受け付けていません。

法人が長く営業していなくて債権者もおらず(消滅時効などで債権が消滅している),資産も何も全くないということをいくら力説しても,「必ず法人とセットでの破産申立」ということを求められます。代表者だけ20万円の予納金の必要ない同時廃止の手続で破産して(20万払えるのなら法人も破産させてしまえばよいだけなので),法人だけを法的に生かしておくことは望ましくないという観点からです。むかし,10年くらい何もやっていなくてその間の税務申告も全くしていないという法人について,「この法人には債務も資産もなにもない」ということを説明して,代表者のみの同時廃止での破産というのを認めてもらったことがありましたが,今ではダメだと思います。
もっとも、本当に法人には債務がないなら法人の破産というのもおかしいので、私の勉強不足かもしれませんが、法人だけ生かして代表だけ破産するというのがかなり胡散臭げにみられるのは間違いないでしょう。少なくとも、代表者個人の破産手続きが管財案件に回される確率は上がりそうです。




正式にいつ破産事件がスタートするかについては,特に急ぐ案件でなければ,申し立てた翌週の水曜日の午後5時に破産手続き開始決定が出されることになっています。




急ぐかどうかのメルクマールはいくつかありますが,一つは,法人に売掛金などの資産があって,かつ,税金や社会保険料の滞納ある場合には,急ぎの案件ということになって,申し立てた日の午後5時付で破産手続開始になります。

これは,税金などの滞納があると,税務署や役所の動きとして,法人の破産を察知するとすぐに滞納処分の差押えを行い(どういう情報網なのか知りませんが,割とすぐに破産申立の情報を察知することがあるのです),売掛金などの資産が先に押さえられてしまうからです。滞納処分の差押えが破産手続開始の後であれば,破産手続きが優先しますので,破産管財人に多くの資産を引き継げることができるわけです。




税金は他の債権に優先して支払われることになっているので,先に押さえられようが破産管財人に引き継ごうがあまり変わらないのではないかということですが,法人の事務所の明渡が未了であったりして明渡のためにお金がかかる場合など,破産管財人に多くの資産を引き継いでおかないと,破産管財業務自体に支障をきたしてしまうことになります。



そういうわけで,資産のある法人破産の場合には,税金と社会保険料の滞納があるかどうかがポイントになります。




ほかに急ぐ案件としては,個人の債権者が多くいて消費者問題的な側面がある場合があります。

例えば,旅行会社の破産などがあります。

全部が全部とは言いませんが,旅行代理店の場合,顧客から預かった旅行代金は本来航空会社や別の旅行代理店などへの支払いに充てられるべきものですが,事業資金に回していることがあり(この場合一種の自転車操業状態になります),どこかで事業がストップしてしまうと,最後に旅行代金を支払った顧客が割を食うことになり,最悪の場合,旅行に行けると思って当日成田(羽田)まで行った顧客がその場で立ち往生するということになってしまいます(自転車操業とは違いますが,本来チケットを購入すべき顧客が支払った代金でチケットを入手できていかったということで,昔,サッカーのW杯などで似たようなことがありました)。





こういうケースだと,混乱を収めるために早く法的な破産手続開始にした方が良いということで,申し立てたその日のうちに破産手続きがスタートすることもあります。





ただ,裁判所としては申し立てたその日のうちに破産管財人を見つけて決定するというのは大変なようです。

東京地裁の場合,破産管財人の豊富な人的給源があるので,破産管財人自体はすぐに見つけられると思うのですが,その日のうちに破産手続開始決定を封筒に詰めて発送するとか,裁判所の事務作業が大変なのではないかと思います。







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