最近出た債権の差押えに関する最高裁の判例です(平成24年9月4日 金融・商事判例1400号など)




AがBに対する判決に勝訴しましたが,Bが任意に支払をしないので,BがCに対して賃貸していたビルの賃料債権を差し押さえたところ,その後BはCに対してそのビルを売却してしまいました。



ビルの賃借人であったCが賃貸人であったBからビルを買い受けた以上(所有権とともに賃貸人という地位も一緒に移転すると考えられています),Cは賃料をBに支払う必要はなくなり,以降の賃料は発生せず,CはAに対しても支払いをしなくて良いと考えられそうです。こういうことを混同(民法520条)といって,債権の消滅原因の一つとされています。




ただ,この件で,事情が複雑であったのは,Cというのは会社でしたが,その代表取締役はB(これも会社でした)の代表取締役て同一で,Cの全株式もその代表取締役が保有していたということでした。




Aにとってみると,BC間のビル売買といっても実質的にお金の移動はなくて,それなのに,差し押さえた賃料債権についての支払いを受けられなくなるのはおかしいのではないかと考えました。ちなみに,Aというのは債権回収会社です。



そこで,Aは,差し押さえた後に発生する賃料についても支払えと主張したところ,Cは,ビルをBから購入したので,Cはビルの所有者となり,賃料をBに支払う必要は無くなったのだから,請求には応じられないと反論してきました。




高裁は,Aを勝たせて,Cは差押えを受けた後の賃料もAに支払わなければならないとしました。その理論的な根拠としては,先ほどの混同(民法520条)の例外として,差し押さえた債権が第三者(A)の目的となっているときは債権が消滅しないとされていることに求めました。



しかし,最高裁は,混同については特に触れることなく,差し押さえた対象の賃貸借契約が終了した場合には,それ以降の賃料債権は発生しないことになるので,以降の賃料債権を請求することはできないとしました。

ただ,賃貸人と賃借人の人的関係,当該建物を譲渡するに至った経緯及び態様その他の諸般の事情に照らして,賃借人が賃料債権が発生しないことを主張することが信義則上許されない例外的事情がある場合には,なお山稜債権を請求できるとして,この点を審理させるために差戻しとしました。




なお,物件の譲受人が賃借人ではなく全くの第三者である場合には,譲受人である第三者は差押債権者(本件のA)に対しては対抗できないとされていますが,この場合は賃貸借契約自体が終了しないのに対し,本件では賃貸人と賃借人が同じになってしまったということでそもそも賃貸借契約自体が終了するのかという問題があり,どのように考えるかで結論を分けたようです。










■ランキングに参加中です。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村


■着手金の簡易見積フォーム
(弁護士江木大輔の法務ページに移動します。)


■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。