判例タイムズ1379号に登載された最高裁の判例です(平成24年5月1日)。



少年事件の付添人は,家裁,高裁,最高裁と審級ごとに届出をしなければならないことになっています(少年法規則14条4項)。この点は,成人の刑事事件の弁護人と同様です(刑訴法32条)。



審級ごとに弁護人や付添人を選任しなければならないという規定からすると,例えば一審や控訴審で判決が宣告された時点,家裁や高裁で少年審判等が下された時点で,弁護人や付添人としての役割や権限は終了してしまうように思われますが,それでは「後は知らんぷり」ということで被告人や少年の保護に欠けることから,原審での弁護人や付添人は,上訴する権限があるとされています(刑訴法355条)。死刑事件などで,被告人が上訴を拒否しているのに弁護人が独自の判断で上訴することがありますが,この規定に基づくものです。

また,原審の判決や決定後に上訴審のために新たに選任された弁護人や付添人についても,上訴することができます。



本件では,ある少年事件で,家裁が少年に対し中等少年院送致としたところ,高裁に対し抗告がなされましたが,高裁は抗告を棄却しました。

高裁の抗告棄却という決定に対しては,少年法35条1項で,一定の場合に限り,少年自身や少年の法定代理人,付添人から最高裁に再抗告ができると規定されています。ここでいう付添人とは,高裁決定段階で付添人であった者又は最高裁の再抗告について委任を受けた付添人を指します。



本件では,最高裁への再抗告をしたのが,高裁段階での付添人ではなく,再抗告自体は2週間以内という制限期間内にされましたが,その後,付添人選任届を提出したのが期限を過ぎていたため,付添人選任届の追完が認められるのかという形で,問題となりました。



この点については,成人の刑事事件に関してパラレルな判例があり,①原審段階での弁護人が上訴した場合には弁護人選任届が上訴期間経過後であったとしても追完が許されるが(最高裁昭和29年7月7日),②原審での弁護人ではなかった者が上訴した場合には弁護人選任届の追完は認められない(最高裁昭和45年9月24日)ということになっています。




本件は少年事件ですが,上記昭和45年の判例を引用する形で,抗告について棄却という決定になりました。




この件とは外れますが,少年事件の場合,成人の刑事事件と違って捜査の段階で弁護人であったとしても,家裁送致後の手続では当然に付添人になるわけではなく,付添人選任届という書類を用意しなければなりません。成人の刑事事件では捜査段階で弁護人選任届を提出しておけば,起訴されたとしても新たに届出をする必要はなく,そのまま弁護人となります。



そして,少年事件の場合には,捜査が終われば必ず家裁に送致される決まりになっていますので(全件送致主義),原則として,捜査の早い段階で付添人選任届を少年からもらっておく方が後で「貰い忘れ」を防止するために都合がよいのです。



家裁に送致された当日の家裁の観護措置期日に立ち会ったり,意見書を出そうと思っても,付添人選任届がないと家裁が相手にしてくれませんので,冷や汗をかくことになってしまいます。

というか,私も,家裁送致当日ではありませんでしたが,「後で選任届もらえばいいや」と思っていて,家裁送致日が近づいた時点になって慌てて警察にいる少年のところまで付添人選任届を貰いにいった経験があります。










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