神奈川県警のストーカー殺人事件で,警察が逮捕の際に被害者の方の結婚後の姓や住所を伝えたのではないかということで問題となっています。



逮捕に当たっては,逮捕状を被疑者に示さなければならないとされ(刑訴法201条1項),逮捕後の弁解録取の際には被疑事実の「要旨」を告げなければならないとされており(刑訴法203条1項),警察としてはこれらの規定から「刑訴法の規定から仕方のないことであった」ということで理論武装しようということだと思います。


確かに,ストーカー規制法にメールが規定されていないこととか,刑訴法の規定で被害者保護の観点から不備があるなどの問題点はあると思います。



しかし,今回の件では,被害者は事前に警察に対して自分の結婚後の姓や住所が伝わらないようにしてほしいという要望を伝え,ストーカー規制法上の警告に当たっては住所が特定されないように所轄警察署長名ではなく県警本部長名で警告していたということですし,逮捕や取り調べの際に被害者の情報を伝えることについてもっと慎重になるべきであったことは明らかだと思います。

(ただ,今回の犯人は探偵を雇って住所を特定したという報道もあり,警察が漏らした情報がどこまで犯行に寄与したのかについてまではよく分りませんが。)



また,逮捕状を示さなければならないなどの刑訴法の規定があるじゃないかということですが,公判後に弁護人に対して開示される証拠に関して,証人の氏名住所を教えなければならないという規定(刑訴法299条1項)があるにもかかわらず,被害者の住所やそれにつながる供述個所などは真っ黒に墨塗りされているということは珍しいことではなく(きちんと開示するように求めれば開示がされますが),事前の情報と知恵を絞れば十分に対応できたのではないかと思います。



法曹関係者に限らず,他人の秘密に接することが多い職業については,秘密の漏えいということに本当に気を使わなければならないと思います。



ついうっかり余計なひと言を言ったばかりに,「しまった」ということで後でそのことに気が付いて思い悩むということは,あり得ることです。

それが秘密に関する事柄であればなおさらです。




■ランキングに参加中です。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村


■着手金の簡易見積フォーム
(弁護士江木大輔の法務ページに移動します。)


■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。