判例タイムズ1378号で紹介された東京地裁平成22年12月21日の判決例です。




東京司法書士会が,所属する司法書士に対して,司法書士法61条に基づく注意勧告を行ったところ,当該司法書士から,注意勧告の無効確認と注意勧告に至るまでの一連の司法書士会の行為が違法であるとして慰謝料200万円の請求訴訟が提起されたというものです。





弁護士の場合,弁護士に対する懲戒処分はすべて弁護士会が行うものとされていますが,司法書士の場合,司法書士法に違反した場合の司法書士に対する懲戒は司法書士法47条で法務局(長)が行うこととされていますが,司法書士法61条では司法書士法に違反する恐れがある場合には司法書士会が注意勧告を行うことができると規定されています。

ちなみに,弁護士に対する懲戒事由は,弁護士法又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し,所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときに懲戒を受けるとされています(弁護士法56条)。司法書士の場合よりも懲戒事由が広いようです。




本件の注意勧告は,債務整理の業務絡みであったようで,①紹介屋のような者からの業務のあっせんを受けないこと②綱紀委員会の調査を拒まないこと③司法書士業務の補助をする者を事務所に置いたときは遅滞なく届け出ること④司法書士としての品位を保持することなどを内容とする注意勧告が出されました。




司法書士側は,①については以前司法書士会から指摘を受けて閉鎖した別のセンターの件の蒸し返しであると反論しましたが,裁判所は,今回の注意勧告はそれとは別の件での注意勧告であるとして反論を退けました。




また,②についても,司法書士側が必要な資料の提出をしないなど,正当な理由なく綱紀委員会の調査を拒んでおり,注意勧告には根拠があるとされました。





③については,司法書士法規則25条1項に根拠規定があるようなのですが,司法書士の業務を補助する者を事務所に置いたときは届け出なければならないとされており,司法書士側はここでいう「補助者」とは単なる事務員のような者は含まないと反論しましたが,裁判所は特に限定はされないという法務省の解釈に沿う形で判断し,司法書士が届出義務に違反したと認めています。



結論として,司法書士の訴えは棄却されています。




本件は控訴されているようです。





■ランキングに参加中です。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村


■着手金の簡易見積フォーム
(弁護士江木大輔の法務ページに移動します。)


■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。