判例時報2159号で紹介された大阪地裁平成24年3月27日の判決例です。




眺望権が侵害されたとして本件訴訟を提起したのは,大阪市内JRゆめ咲線の駅から約120メートルの場所にある20階建てのマンションの居室を購入した入居者たちです。



原告らがこのマンションを購入した約4年後にマンション北東側の隣地に24階建てのマンションが建ち,それまで生駒山脈や安治川,大阪都心のビル群などを眺めることができたのに,それが不可能になったということです。

なお,原告らのマンションを開発販売したのも,24階建てのマンションを開発,販売したのも同じマンション開発,販売業者でした。




原告住民らは,新しくマンションを建てられたことによって,眺望権が侵害されたと主張しましたが,このマンションが建てられている地区は構想の建物の建築が予定されていた地区であって,周辺環境の変化があり得る地区であったと言えるから,原告住民らがマンションからの眺望を期待していたとしても,法的な保護を与えることはできないとしました。

なお,原告住民らは,高層階の居室の方が価格が高いのは眺望権が反映されているからだと主張しましたが,防犯や騒音,排ガスなどの影響などの要因によって価格が決められている面もあり,眺望権のみによって価格が高いというわけではないとして退けています。




本件では,新しく建てられたマンションの開発,販売も同じ業者でしたので,原告住民らは,業者には,周辺環境を保持すべき義務があったと主張しました。




裁判所は,売主が眺望の良さを積極的に売りにしてマンションを販売していた場合には,一定の条件のもとでは,周辺環境に配慮すべき義務があるという一般論は認めました。




しかし,本件では,原告住民らにマンションを引き渡した時点では北東の隣地を取得していたわけではなく,マンションからの眺望の変化を制御できる立場にはなかったとして,原告住民らの主張を退けています。







原告住民らは,業者による説明義務違反も主張しましたが,裁判所は,パンフりっとやマンションギャラリーでの説明,質問問答集などの記載などから,本件業者がマンションからの眺望の良さを特に強調して販売したということはないとして,この点でも原告住民らの主張を退けています。




本件は控訴されているようです。






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