判例時報2158号で紹介された東京地裁平成24年3月27日の裁判例です。




東京都区内で税理士を営んでいた税理士所有の高級自動車(ベンツ)が,横浜市内の駐車場に駐車中,タイヤをパンクさせられたり,車体に傷をつけられるなどの被害に遭ったとして,損保会社に対し,修理相当額約178万円の請求をしたという事案です。




裁判所は,次のような事情から,本件被害が自動車所有者である税理士による故意のものであると推認されるとして,保険金請求を棄却しました。





まず,税理士の経済状態として,平成18年には1530万円程度であった事業所得が本件被害があったとされる平成21年には706万円程度になっていたことに加えて,消費者金融などからの借入が400万円から500万円くらいあったという点で,税理士には保険金を得たいと思う動機があったとされました。





また,自動車が駐車していた駐車場は税理士の顧問先の駐車場で,最初,税理士は「ただで貸してくれるというから駐車していた」と供述していましたが,実際は顧問料と駐車料金が相殺であったことが発覚し,供述変更しています。わざわざ自宅から離れた場所に駐車場をもつ必要性はないばかりか,経済的にキャッシュアウトを抑えようとしていた時期に,顧問料と相殺してまで駐車場を借りたことは不自然であるとされています。なお,この駐車場の防犯カメラはダミーで,夜間は無人の状態となるところでした(税理士がこのことまで知っていたのかどうかについてまでははっきりしません)。





さらに,そもそも本件自動車は税理士自身が実際に使用するというよりは,一時的に短期ローンを組んで保有したもので,継続して保有する意思はなかったといえること,さりとて,転売して利益を挙げられるだけの価値もなかったということが認定されています。では,なぜ,そんな自動車を保有したのかという点で,保険金請求のためではないかということを推認させる事情になるというわけです。





また,そもそも,修理費用といっても,傷については税理士自身がタッチペンで補修し,タイヤの交換も数千円程度で済んでいるようです。この保険契約の内容までは詳しく分りませんが,税理士側では実際にかかった修理費用についての主張立証まではしていないようです。






ということで,裁判所は保険金請求は棄却し,本件は確定しています。









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