民事執行法146条2項などでは,超過差押えの禁止という原則が定められています。




これは,100万円の勝訴判決(債務名義)をもっている場合に,100万円を超えては強制執行することはできませんよという当然のことですが,実務的には,複数の差押えをする場合の「割り付け」という形で現れてきます。




上記の例で,債務者がA銀行,B銀行の二つに口座をもっている場合,どちらの銀行に対しても100万円の差押え命令を得ることはできず,50万円づつとか30万円と70万円とか,合計して100万円を超えないように「割り付け」ることになります。





それでは,先ほどの例で,100万円全額について債務者の不動産の競売開始決定を得た後で,さらに,100万円全額について債権差押をしてしまってもよいか,つまり,強制執行の対象となる財産が異なり,強制執行の手続が異なる場合にはどう考えるかということが問題となったのが,東京高裁平成23年10月6日の決定です(判例タイムズ1373号,銀行法務750号など)。





この件では,まさに不動産の競売開始決定後に,債権の差押えをしたという事例でしたが,地裁が債権差押命令を発令したのに対して,債務者側は民事執行法146条2項を根拠に執行抗告をしました。




民事執行法146条2項は,「債権」の差押えについての規定で,「差し押さえた債権の価額が差押債権者の債権及び執行費用の額を超えるときは、執行裁判所は、『他の債権』を差し押さえてはならない。」としています。





あくまでも債権同士の超過差押えを禁止しているのみですので,高裁は,不動産と債権というような異種の手続についての超過差押えまでを禁止しているものではないとして抗告を退けています。





もっとも,当然ですが,「もとより、相手方は、本件債務名義及びその原審判決(仮執行宣言に基づき強制執行をしているものと推測できる。)による強制執行により、本件債務名義が認容した金額及び執行費用を超えて回収をすることはできないから、どちらかの執行手続で相手方が債権を回収した場合には、抗告人は、他の執行手続において、別途、請求異議の訴え等により解決を図るべきものである。」とも言っていますので,二重取りが許されるということではないのも当然です。







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