家裁月報63巻11号に紹介された推定相続人の廃除審判の事例です。家裁も,高裁も推定相続人の廃除を認めました。




推定相続人の廃除には被相続人が生前に家裁に請求する生前廃除と遺言によって死後,遺言執行者が家裁に請求する遺言廃除がありますが,本件は後者の事例です。




昭和2年生まれの被相続人は,平成9年に,実妹の長女と養子縁組をしました。




しかし,養子縁組から約10年の間,養子は居住先の外国から年1程度帰国した際も生活費として被相続人から生活費を受領するのみで被相続人の面倒を見ることがなかったということです。




また,養子の実母である被相続人の実妹に対して被相続人の所有のマンションを使用貸借していたところ,不和となったことから,実妹に対して明渡訴訟を提起したところ,養子は,被相続人に対して毎日のように電話をかけてきては「やり方が汚い」「和解した方がいい」などと執拗に迫っていたということも認定されています。




このようなことから,被相続人は,平成19年に,養子との間の養子離縁の訴訟を提起しましたが,養子側が同訴訟をいたずらに遅延させたということも認定されています。





当時,養子は外国に居住していたため,被相続人側は,養子の実母のマンションを送達先として訴状を送るよう上申しましたが,受取人不在などで返戻されてしまい,次に,外国送達の上申をしました。




その間,実妹に対するマンションの明渡訴訟の傍聴のため養子が帰国して実母のところに滞在すると聞きつけた被相続人側で,裁判所に上申し,養子が実母宅に滞在している日を期日指定で訴状送達するようしましたが,受け取った養子の実母から「自分のものではない。」などといって裁判所に戻されてきてしまいました。




そこで,裁判所の担当官が実際に養子に直接面会して書類を渡そうとしましたが,「もう少し詳細に検討したい」などいって受取書類への署名を拒否しました。





また,養子の実母に対する明渡訴訟で養子の実母の代理人を務めていた弁護士は「離縁訴訟の受任予定だ」などと述べながら,約4か月近くにわたって委任状の提出をしなかったり,指定された期日を取り消させて延期させるなどしたことについても,養子側の引延しを図った行為と認定されています。





この間も,養子は,被相続人に対して離縁訴訟の取下げを執拗に迫ったようです。





結局,養子側の引延し行為が功を奏して,離縁訴訟の結論が出る前に被相続人は死亡してしまいました。

このままでは,養子が相続人ということになり,被相続人の財産は養子に持って行かれてしまうことになります。





しかし,そうは問屋がおろしませんでした。





被相続人は,生前,遺言をしており,その中で養子に対する廃除の意思を示しており,指定された遺言執行者が養子を相手取って相続人の廃除の請求を家裁に請求したのが本件ということになります。





裁判所は,上記の一連の養子の行為は民法892条の「著しい非行」に該当するとして,養子を相続人から廃除することを認めました。悔しい想いをしながら死んでいった被相続人が天国から手助けしたのでしょう。








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