判例時報2155号で紹介された東京地裁平成24年3月15日の裁判例です。身近な問題ということもあり,報道などもされたように記憶しています。




本件は,東京都内の分譲マンションの階上の住人の子ども(幼稚園児のようです)が走り回るなどして騒音が発生したとして,階下の住人が,メンタルクリニックなどへの通院費用や慰謝料,また,騒音調査・測定にかかった費用(約64万円)などの損害賠償請求を求めたという事案です。




本件の分譲マンションの床部分は,厚さ200ミリのコンクリートの上に約4ミリ厚の防音緩衝材を使用し,その上に遮音性LL-45規格の約9ミリ厚のフローリング材を使用しているという仕様でした。ただ,原告代理人からの問い合わせに,マンション販売会社は,「防音緩衝材はあくまで上下階の軽量床衝撃音(食器などの比較的硬質軽量な物体の落下やいすを引きずったことなどで階下に発生する音)に対する遮断性能であって,歩行者などの生活音を遮断するものではない」と回答しています。

なお,重量衝撃音とは,子供の体重に近い重量物を高さ約1メートル程度から落下させた場合の床衝撃で発生する音とされています。




裁判所は,原告が依頼した調査会社の調査結果などから,階上住人の子どもらによる歩行や飛び跳ねによって重量衝撃音が発生したと認定しました。




階上の住人は,日中は子供は在室していないとか,マンションの外の騒音が影響しているなど反論しましたが,退けられています。





そのうえで,階上住人が発生させた騒音レベルは受忍の限度を超えていたとして,「建物から発生する騒音を午後9時から午前7時までの時間帯に40db(A)を超えて到達させてはならない」という内容の差し止めと,治療費や薬代のほか,慰謝料30万円,調査費用約64万円全額の支払いを命じました。調査費用については,不法行為の立証のために不可欠であるとして損害に含めています。



なお,40db(A)であれば,小さく聞こえるもののあまりうるさく聞こえない程度,

48db(A)を超えるとやや大きく聞こえてうるささが気になる程度に達し始める,

53db(A)を超えるとかなり大きく聞こえて相当うるさいと感じるということで,本件では,58db(A)を超える測定もあったという認定がされています。



本件は控訴されているようです。





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