自動車保険ジャーナル1860号で紹介された横浜地裁平成23年4月26日判決です。




胃ろうの高齢者がショートステイ先の老人施設で,胃ろうに関する不適切な処置により死亡したとして約3797万円の損害賠償請求した事案ですが,提訴が平成16年で判決が平成24年ですので,近年にしては珍しく時間がかかった裁判であるといえることができます。死亡との因果関係について鑑定がなされ,医療訴訟のようになったことなどもあり時間がかかったようです。




胃ろうというのは,栄養分等を口から取ることができなくなった場合に,体外から接続されたチューブで直接胃に栄養分を送るという処置のことです。




本件で死亡した高齢者は,バルーン式といって腹部から穴を開けてチューブを通し,胃の内部でバルーンを膨張させて栄養分などを注入するというタイプの胃ろうを増設していました。




胃ろうの場合,老人施設から受け入れを断られる場合も多いのですが,本件施設は胃ろうであっても可ということで,ショートステイにより入所しました。その際,高齢者の家族は,胃ろうの実施方法などについて施設側に対して説明を行っています。





入所から3日目に異変が起き,呼吸状態の悪化,顔色不良などのため,病院に搬送され,イレウス(腸閉塞)と診断され,結局,約40日後,肝硬変による肝不全により死亡してしまいました。




本件で,遺族側は,施設職員が胃ろうを実施した際に,胃ろうチューブが体内に抜けていたのに医師の処置を受けずにそのままチューブを体内に再挿入するなどしてそのまま栄養剤等を注入したことから,腹膜炎を発生させて死亡させたと主張しました。




裁判所は,もろもろの証拠から本件施設での職員による胃ろうの処置は実にずさんであった認定し,本来薬剤等を注入すべきでない注入口から注入させたことにより胃ろうバルーンを破裂させた可能性があるとしました。




しかし,結論として,そのことと高齢者の死亡との間に因果関係が認められないとして,遺族側の請求は棄却しています。




高齢者が最初に搬送された病院でイレウスが確認されていますが,その発症がいつであったかまでは不明であり,胃ろうバルーンの破裂によって高齢者の死亡が生じたとまでは認められないと判断しました。




本件は確定しています。




胃ろうに関しては,成年後見人に対して医療機関から「胃ろう処置をするかどうか」の問い合わせが合ったりすることがあり,身寄りがいない場合には悩むことになります。







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