書証の不同意

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刑事訴訟では,検察官が証拠申請してくる証拠(書証のほか,物証もあります)に対して弁護人として意見を述べることになります(刑訴規則190条2項)。




被告人以外の者が供述した内容を記載した供述調書については,内容が事実かどうかを被告人にも確かめて,問題なければ同意(刑訴法326条)します。

否認事件の場合には書証やその他の証拠に対して不同意や異議を述べることは当然なのですが,自白していて事件を認めている場合であっても,書証に対して不同意とすることはあります。




供述調書などの書面は伝聞証拠なので,原則としてそのままでは証拠になりませんが,弁護人が同意した場合には,証拠として取り調べられることになります。




供述調書などの書面は捜査側がやりたい放題に作っていることがあり,注意しないと,あることないこといいように書かれていたりします。




被告人の親や子どもの供述調書が取られていることもあり,「こんな迷惑ばかりかけている子どもはしっかり刑務所に行ってほしいと思います」とか「ろくでもない親ですので顔も見たくありません」とか親族としての情愛のかけらも感じられない可哀そうな内容になっていたり,「昔から盗み癖がひどかった」「いつかこんなことをするんじゃないかと思っていた」とか本当だかどうだか分らないようなことが述べられていたりすることもあります。





また,わりと気を付けないといけないのは「現行犯人逮捕手続書」という捜査書類で,警察官が被告人を逮捕した際の状況についてことさら被告人を悪く書いてあったりすることが多いです。「本職は,スモークガラスで内部が良く見えない自動車に乗っていた被疑者に対し職質した」とか「全身真っ白なスーツを身に着けた被疑者に声をかけたところ」とか「本職が逮捕する旨告げると被疑者は『うっせえな,馬鹿野郎が』などと怒鳴り・・・」」など,被告人に対してよくないイメージがついてしまうような記載がしてあることが多くあります。



弁護人としては,被告人に確かめたり,よく考えたりして,不同意にすることも多いです。




また,供述調書のすべてではないにしても,気に食わない一部分だけを不同意にすることもあります。




若いころは,「犯罪事実自体について争いはないのに,検察官提出の書証に対して不同意とすると,検察官から言われのない意地悪をされたりしないだろうか」など弱腰なことを考えたりもしてしまうのですが,そんなことは考える必要はなく,被告人のために必要であれば毅然と不同意とすべきです。





なお,書証全部を不同意とした場合には,例外を除いて,その書証自体が裁判所に提出されなくなりますが(特に警察官が作った調書はそうです),一部不同意にした場合には,その部分だけが黒塗りにされて提出されることもあれば,ピラピラの付箋みたいなのが付けられて提出されることがあります。黒塗りしてある部分もいい加減で,何か書いてあるか判読できてしまうということもあります(わざと見えやすく塗っただろと言いたくなることもあります)。

不同意というのは,あくまでもその部分が事実認定のために利用できないという意味であって,現実に裁判官の目に触れないということを保障したものではないということらしいです。。





毅然として不同意という意見を述べると,裁判官から「不同意ではなく,同意して信用性を争うことにしませんか?」と水を向けられることもあります(そういうやり方もあるので)。大した違いがないことも多いのですが,多くの弁護人としては一度不同意にしたものを同意するということはしていないと思います。







弁護人が検察官提出の書証を不同意にできるのと同様に,検察官も弁護人が提出した書証に対して不同意意見を述べることができます。

あまりないのですが,せっかく取り付けた被害者からの示談書とかを不同意にしてこられると,ちと困ります。

これについてはまた機会を改めたいと思います。




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