2012年09月14日 テーマ:不動産

マンションの一室を税理士事務所として使用することが管理規約に反するとして使用禁止が命じられた事例

最近は,弁護士でも「宅弁」などといって自宅住居を弁護士事務所として登録するという事例が増えているといわれています。

一軒家でしたら問題ないのでしょうが,マンション(共同住宅)ということになると,管理規約などとの関係で問題が生じることも想定されます。




判例タイムズ1375号で紹介された東京高裁平成23年11月24日判決の事案は,弁護士ではなく,税理士事務所の事案です。




判決によると,このマンションは昭和44年に建築されたもので,建築当初の管理規約には住居専用規程は設けられていなかったが,昭和58年5月に,区分所有者は専有部分を自宅以外に使用してはならないという条項が設けられたということです。





本件の税理士は,この規約ができた後の昭和58年12月に本件マンションの一室を取得し,当初は別の場所で税理士事務所を構えていましたが,昭和59年12月に自宅マンションを税理士事務所とするようになったということです。




その後時は流れて,平成19年8月頃になって,マンション管理組合の役員らが,税理士が自宅部分を税理士事務所として使用していることを知り,違反行為の是正を求めたが,了承が得られなかったため,管理規約に基づいて,自宅を税理士事務所として使用することの禁止を求めて提訴したということです。





一審は,税理士事務所としての使用が区分所有者の共同の利益に反しているとはいえないとして管理組合側の請求を棄却しました。

すなわち,本件マンションでは平成6年ころにも皮膚科医院や歯科医院があったことや現在でもカラオケ教室が営まれている住居があるなど管理規約が厳格に適用されてきたとはいえないことや税理士事務所があることで日常的な騒音が生じているとはいえないことなどを理由としてあげました。





しかし,管理組合側の控訴を受けた東京高裁は,一転して税理士側を敗訴として,税理士事務所としての使用を禁止しました。





住居専用規定ができた後に税理士がマンションを取得していることや,管理規約が空文化していたという税理士側の主張に対しては,管理組合側が管理規約の徹底を図り,規定に沿った使用方法となるように努めていたという事情を挙げて,税理士側の主張を排斥しました。






税理士事務所以外に住居以外の使用をしていた居室についての状況として,平成6年ころまでにあった歯科医院等は現在すでに廃業,移転していること,会社従業員の更衣室として利用している所有者に対しては使用をやめるように協議中であること,カラオケ教室としてホームページ上に住所を記載していた所有者については現在記載を止めており,またそもそも住居でのカラオケ教室は使用していなかったこと,本店として登記し事事務所として使用していた会社について現在登記を他に移し事務所としての使用も止めていること,劇団の連絡先として使用している所有者については住居を事業活動に使用してていることはないなど,他の問題となりそうな区分所有者の状況を認定しています。





それまで黙認されていた規約違反について,管理組合側が急に取締りを強化したということなのでしょうが,税理士側に気の毒なような気もします。




本件は上告,上告受理の申立がされているということです。




法律事務所の場合には,より厳しい判断がされるような気がします。弁護士業務では,好むと好まざるとにかかわらず,国選で引き受けてしまったや●ざやその関係者とか,精神的に問題のある人などと対応しなければならないことがあり,税理士よりもよりシビアな人間関係が事務所に持ち込まれるためです。





■ランキングに参加中です。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村


■着手金の簡易見積フォーム
(弁護士江木大輔の法務ページに移動します。)


■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。


コメント

[コメントをする]

コメント投稿