葬儀のやり方,墓地や遺骨などをめぐる相談というのもたまにありますが,「当事者同士でよく話し合ってください」と言ってお茶を濁しているのというのが弁護士の回答の多くではないかと思います(私だけかもしれませんが)。




葬儀や墓地などをめぐる問題というのは,法律というよりも慣行,習慣に根差していることが多く,その後の付き合いということなども考えると,法律によるシロクロはっきりさせる解決というのには馴染まないように思えるためです。また,争うことで経済的にメリットがあるというものでもないので,弁護士費用などをかけて争うということになじみにくいというところもあります。




判例時報2154号で紹介された宇都宮地裁平成24年2月15日の判決は,浄土真宗のお寺に墓地使用権を持っていた者がその後創価学会に入ったために,お寺から遺骨の埋蔵を拒否されたため,遺骨の埋蔵を認めるように求めて裁判にまでなってしまった事例です。





もともと,大正14年頃に原告(遺骨の埋蔵を求めて提訴した人)の妻の祖父が浄土真宗の寺である被告寺院に墓地使用権を取得したが,その後,昭和39年ころに,原告の妻,原告の義父母が創価学会に入会したということです。




昭和40年代に原告の義父が死亡したことから,原告が本件墓地使用権を取得し,その際に墓地区画に創価学会の僧侶が記載した文字を刻印した墓石を設置したり,その後に亡くなった原告の義母も本件墓地に埋蔵したが,特に,寺院からの異議はなかったようです。




トラブルになりだしたのは,平成7年に被告寺院の住職が交替してからのよう

で,創価学会だけでなくその他の真宗以外の宗派の墓地の移転を求めるようになったようです。




そして,原告の妻が死亡し,原告が墓地への遺骨の埋蔵をしようとしたところ,被告寺院が拒否し,その後双方とも弁護士を通じて交渉したが決裂し,本件訴訟になりました。





本件で争点となったのは,大正14年に原告の義理の祖父が本件墓地の使用権を取得した際に被告寺院との間でなされた合意の解釈で,被告寺院は,①遺骨の埋蔵に当たっては被告寺院の典礼に従って墓地を使用するとの合意があり,②その合意は,その後,墓地使用権利者が異なる宗派になったとしても及ぶものであると主張しました。




裁判所は,①について,本件墓地の使用権が設定された当時,被告寺院と原告の義理の祖父との間でそのような合意があったことについては認めましたが,②については,明確な規則もなく,そのような慣行があったともいえないとして否定しました(被告寺院が異宗派の者にによるその宗派の定める典礼による遺骨の埋蔵について異議を唱えていなかったことも理由としてあげています。)。



そして,被告寺院は原告が無典礼で原告の妻の遺骨を埋蔵することを妨害してはならないという判決となりました(ちなみに,判決には「別紙遺骨目録」というものもついているようです)。




ただ,裁判例の中には,寺院の典礼に基づかない遺骨の埋蔵を拒絶できると判断したものなどもあるようであり,被告寺院において、埋葬等に際して、長い間,他の宗派の典礼による祭事が行われていたという具体的事実を重視したものといえるかなと思います。もっとも,このような裁判例自体があまり見当たらないようです。





なお,被告寺院が遺骨の埋蔵を拒否したことについての不法行為に基づく慰謝料請求については棄却されています。




本件は確定しています。













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