判例時報2148号で紹介された最高裁平成24年2月23日の判例です。




ある債権者が,不法行為に基づく損害賠償請求権を保全するために債権の仮差押命令を受けました。これはあくまでも「仮」のものですから,その後,本訴訟を提起して勝訴しなければ仮に差し押さえたものから配当を受けることはできません。




そこで,当該債権者は,本訴訟を提起しましたが,仮差押命令を受けた基礎となった不法行為に基づく請求については請求棄却されてしまいます。しかし,予備的に主張した貸金債権に基づく請求については認められその判決が確定しました。




そこで,先に仮差押えたものから配当を受けようと思ったところ,ほかにも差押えをしてきた債権者がおり,競合してしまいました。




こういう場合,裁判所は,債権按分にして配当表を作成して配当するのですが,仮差押えをした方の債権者が,別の債権者に対して,「その債権は架空のものであるから裁判所が作成した配当表について異議がある」という理由で配当異議訴訟という訴訟を提起したのが本件です。





ここで,一審,二審は,そもそも,仮差押えをした基礎になったのは不法行為請求権であるのに,実際に勝訴したのは貸金債権に基づく請求権なのだから,そもそも,仮差押えに基づいて配当を受ける資格がないとして,請求を却下しました。





これに対して,最高裁は,仮差押えの基礎になった請求権とその後の本訴訟で認められた請求権の基礎が同一であれば,仮差押えの効力は認められるとして,本件では双方の請求権の基礎は同一であるとして,仮差押えの効力を認めて,「別の債権者の債権が架空である」とする主張を審理させるために差し戻しました。




本件における不法行為に基づく請求権というのは,もともと貸金がありそれに基づく担保を取っていた担保物を棄損したということに基づく請求で,双方が全く別々のものということではありませんでした。




仮差押えをした後に,本訴訟で主張の根拠を変更するといいうことは考えられないわけではありませんので,当然といえば当然ですが,全く別の請求権であってもOKとされているわけではありませんから,仮差押えが無駄にならないように,当然ですが,本訴訟を見据えてきちんと法律構成しておくことが必要です。






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