報道もされましたが,持ち帰り弁当販売事業を展開している「ほっかほっか亭」と「ほっともっと」との争いです(判例時報2149号 東京地裁平成24年1月30日)。




フランチャイズをめぐる紛争というのは,個人(事業的な)加盟店と本部との争いというのがよくありますが,本件は,全体を統括していた総本部(マスターフランチャイザー)とその傘下の担当地域の地区本部(サブフランチャイザー)との紛争です。





ほっかほっか亭は昭和51年に第一号店を出店して以来フランサャイズシステムを展開していましたが,地域ごとに担当企業との間でフランチャイズ契約を締結するという地区本部という形態をとるようになり(地区本部は総本部の管轄下にあるというよりは,ある程度独立した企業体という実態であったようです),紛争当時,本件のサブフランチャイザーは九州と関東地区を担当していたものでした。




本件で総本部とサブフランチャイザーは,「ほっかほっか亭」の名称使用やロイヤリティの支払い,契約期間を3年又は5年として特に異議のない限り契約が自動更新されるという内容のフランチャイズ契約を締結していました。




しかし,平成18年の秋頃に,総本部が運営の方向性について傘下の加盟店に対し一方的とも取れる方針を示して書面などを送付したようです。そして,本件サブフランチャイザーが新たに出店していた銀座五丁目店の仕様などが総本部の方針等と合致しないことや総本部の方針を理解しない場合には契約の継続が困難になることなどを記載した書面を送付しました。





これに対して,本件サブフランチャイザーは反発し,双方で反論書や警告書の送付といって書類のやり取りが戦わされました。




その結果,総本部は契約更新期限を迎えたいくつかのフランチャイズ契約(契約は地区,地域ごとに13契約ありました。)について契約更新しないことを通告しました。




これに対して,サブフランチャイザーは,正当な理由なく契約更新しないことが債務不履行であるとして,契約期間中のフランチャイズ契約も含めてすべての契約を解除する旨を通知し,新たに「ほっともっと」というフランチャイズチェーンを立ち上げるとともに,総本部に対して,契約更新がされていれば新たなフランチャイズチェーンを立ち上げる必要もなかったのにこれを強いられたとして,立ち上げにかかった費用約20億円を請求したというのが本件訴訟です。




裁判所は,総本部が契約更新しなかったことは正当な理由がなく,契約継続を期待していたサブフランチャイザーの期待を裏切るものであるとして,本件の契約更新拒絶には正当な理由がなく,そのこと自体が債務不履行に当たるとしました。




契約更新について拒絶できるという合意がされていたとしても,正当な理由がなければ契約更新の拒絶ができないという論理は,フランチャイズ契約において裁判例が認めているところです。ただ,契約更新拒絶を広く認めている裁判群もあります。




そして,いまだ継続中であった有効なフランチャイズ契約についても総本部は順次契約更新を拒絶する意思であったと認定して,全部の契約についてなされたサブフランチャイザーの契約解除を有効としました。




そして,損害については,新たなフランチャイズチェーン立ち上げにかかった費用のうち請求金額の4分の1に当たるおよそ5億円の賠償を命じました。




判例時報によると,このような内容の損害を認定した例は見られず,その点で画期的だということです。




なお,損害額を請求の4分の1にとどめたのは,永久に契約更新がされるということまでは期待できないはずであって,将来契約が終了した時点で新たなチェーンを立ち上げるために出費するはずのものは損害からのぞかれるという論理です。




なお,本件は控訴がされています。








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