相手方からの要求行為が激しいので何とかしてほしいという相談はたまにあります。



本件は判例時報2145号で紹介された平成23年12月27日の東京地裁の判決ですが,被告らからの要求を受けて提訴した原告は某大手飲食事業チェーン創業者の妻です。



被告らのうちの一人は,元プロ野球の選手で怪我で引退してからは経営コンサルタントを称していたと認定されています。その他被告は,この自称経営コンサルタントの被告の大学時代からの友人や,不動産ブローカーといった面々です。




原告の夫(フランチャイズチェーン創業者)が亡くなった後,多額の遺産は妻である原告と原告の息子に引き継がれましたが,この息子が次々とトラブルに巻き込まれ,その過程で被告らに相談したことから,被告らから報酬が発生したとして要求を受けることになりました。




トラブルとしては,フランチャイズチェーン会社の株式を某財団に預けたことによる株式返還請求に関するトラブル,某社が振り出した額面1億円の約束手形に署名したことによる支払い請求を求められるトラブル,勧められた割引金融債購入に関するトラブル,ポーランド新興企業に約6億円を投資する詐欺まがいの話に引っかかったトラブルなどです。判決文をみる限り,ボンボンが付け込まれてお金をむしり取られているような感じですが,世の中,こんなことが実際に起こっているのですね。




被告の自称経営コンサルタントに相談していたのは原告の息子であって原告自身ではないようですが,原告やその息子は,報酬として1億4000万円を支払っったようです。




しかし,その後も報酬に関する請求が続いたようで,原告からは報酬の支払い義務がないことの確認請求,被告(自称経営コンサルタント)からは報酬支払い請求の提起がされて,被告の報酬請求権は存在しないことを確認する判決が下されています。




さらに,原告は被告(自称経営コンサルタント)に対して報酬支払いを求める通知をしないように求める仮処分の申し立てを行い,この手続上で,報酬の支払いを求めることをしないことや報酬債権を譲渡したとの通知をしないことなどを内容とする和解が成立しました。





普通はここまですればもう終わる筈なのですが,まだ終わりませんでした。





その後,被告(自称経営コンサルタント)から他の被告らに対する債権譲渡通知がなされ,被告らからの支払い要求行為がされたことから,本件訴訟が提起されました。




裁判所は,被告らに対して,平穏な生活を送る人格権を根拠にして,支払いを求める行為はしてはならないことなどを命じる判決を下しました。




判決で認定されている被告らが原告に送付した通知書には「生命に危険が及ぶ」「他殺として判断されることが妥当なところまで来ているので」「友人の事故原因は,警察が現場検証をせず自殺に偽装したものであり」など生命への危険を連想させる記載や「貴女の代理人が貴女を騙している証拠です」「逃げ通せると思っているのですか。絶対に逃げ得にはさせません。」「早急に振り込め!」といった原告に精神的ストレスを与える記載があったということです。




また,被告らに対しては慰謝料の支払いも命じられています。




なお,本件は控訴されています。




仮処分手続中での和解などまでされている件であり,刑事的にも問題のある件だと思うのですが,どういうわけかこの事態になるまで警察は動かなかったようですね。一度でもお金払っちゃうと助けてくれないのでしょうか。。




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