診断書問題

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成年後見の申立の相談を受けているとネックになるのが,「診断書」が取得できないというものです。




裁判所所定の成年後見用の診断書が用意されており,通常,これを用いるのですが,全ての件がスムースに診断書を取得できるというわけではありません。




本人が医師の診断を受けるのを嫌がる件もあれば,同居しているなどの親族が本人を囲い込んでいまって本人に医師の診察を受けさせないということもあります。




私を含めて,知恵を絞って何とか対応している現状です。




そもそも,法律上のたてつけとしては,後見,保佐の類型では原則として「鑑定」を受けなければならないということになっていて,明らかにその必要がない時には「鑑定」不要とされているのですが(家審規則24条,30条の2),申立に当たって「診断書」の添付が必要ということはどこにも出てきません。「診断書」は,あくまでも,裁判所が「鑑定」の要否を判断するための一資料という位置づけなのですが,診断書がないと手続が進まなくなります。「鑑定」すべきかどうかわからないので先に進めないという論理のようですが,そんなもの,調査官が行くなりして確認すればいいのにと思います。囲い込んでいる親族も,裁判所の手続ということであれば協力するということは多くあります。

補助の場合には開始にあたって「本人の精神の状況に関する医師の診断の結果その他適当な者の意見」を聞くこととされていますが,補助の場合には判断能力の低下の程度が軽く本人の同意がなければ開始できないので,申立前に自ら診察を受けることを嫌がっているような人に補助を開始することはしないというのは理解できます。




後見や保佐類型で,診断書が取得できないからといって後見の開始ができないのでは,その間に囲い込んでいる親族などによってどんどん財産が搾取されてしまうなどの危険性があり,そのこと自体が高齢者虐待の一つなのではないかと思います。




ケアマネや親族の陳述書など,後見か保佐に当たるという一定の疎明があり,診断書が取得できない事情を明らかにできれば,診断書がなくても,鑑定や調査官調査に進むことができるという手続運用にしてほしいものです。





現状,「診断書」は,手続が早く進むための便利な道具でもある反面,厄介な案件を家裁から追い払うための道具としても機能してしまっています。




なお,家事事件手続法によっても,このような仕組み自体は変わらないようです(家手法119条1項←従来の家審規則24条を法律に格上げしただけ。)






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