弁護士江木大輔のブログ

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民法が改正され、成年後見人が被後見人宛に送付される郵便物について一定の管理を行うことが認められるようになりました。保佐類型、補助類型については保佐人・補助人にはこのような権限は認められていません。

 

 

(成年後見人による郵便物等の管理)
第860条の2  家庭裁判所は、成年後見人がその事務を行うに当たって必要があると認めるときは、成年後見人の請求により、信書の送達の事業を行う者に対し、期間を定めて、成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(次条において「郵便物等」という。)を成年後見人に配達すべき旨を嘱託することができる。
 前項に規定する嘱託の期間は、六箇月を超えることができない。
 家庭裁判所は、第一項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、成年被後見人、成年後見人若しくは成年後見監督人の請求により又は職権で、同項に規定する嘱託を取り消し、又は変更することができる。ただし、その変更の審判においては、同項の規定による審判において定められた期間を伸長することができない。
 成年後見人の任務が終了したときは、家庭裁判所は、第一項に規定する嘱託を取り消さなければならない。

 

第860条の3  成年後見人は、成年被後見人に宛てた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。
 成年後見人は、その受け取った前項の郵便物等で成年後見人の事務に関しないものは、速やかに成年被後見人に交付しなければならない。
 成年被後見人は、成年後見人に対し、成年後見人が受け取った第一項の郵便物等(前項の規定により成年被後見人に交付されたものを除く。)の閲覧を求めることができる。

 

具体的には、成年後見人が家庭裁判所に申し立てをして、被後見人の郵便物について「回送」という手続きを取ることについて許可を得た場合には、被後見人宛の郵便物が後見人が指定した住所(後見人の事務所など)に送付されることになります。

なぜこのようなことが必要とされたかというと、第三者の後見人の場合、被後見人のそれまでの財産状況を詳しく知っているという立場にないため、金融機関や証券会社などから被後見人宛に郵送されてくる郵便物を確認することができれば、それにより財産状況の把握が可能となるからです。

 

 

これまで、成年後見人が転送届を出すなどするという実務上の処理をすることもありましたが、成年後見人が被後見人の郵便物を管理することについて明確な法的根拠があるわけではなかったため、法律的にはグレーな処理であり、また、郵便局が実際に転送先に被後見人が住んでいるのかどうかを確認しに来てそこに住んでいるわけではないということが判明すると転送処理を拒否されるということもありました。

 

 

今後は、被後見人の郵便物の「回送」について明確な法的根拠が設けられたことになるわけですが、他方で、憲法上保証されている通信の秘密との関係から、その要件効果は厳格に定められており、裁判実務上も厳格に運用されていくことが予定されているようです。

具体的には、単に被後見人が施設に入所中で自宅が空き家となっているという理由だけでは回送の必要性があるとまでは認められないようで、施設に転送してもらえないのか、自宅に郵送される郵便物を取りに行くなどして可能な限り回送によらない方法がとれないかどうか調査・確認することが求められるようです。

 

 

また、回送が認められたとしても、原則として6か月までであり、延長申請することはできるとしても、その必要性については厳しく判断されるようです。

 

 

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