2009-03-30 06:00:00

「えいちゃんが走ると、お人形さんが泣くよ。」

テーマ:ライティング・リテラシー

    まもなくわたしの道は右へ折れて、その親子と別れたが
   
    「えいちゃんが走ると、お人形さんが泣くよ。」

    といったあのことばは、わたしの心からはなれなかった。

 
               ~ 西尾 実 『日本人のことば』 ~

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  ある日の夕方、年若いお母さんに手を引かれ白いセーターを着た
  四つくらいの女の子が歩いていました。


  しかし、それは歩いているというよりまるで走っているようでした。


  お母さんは夕食の支度を急ぐためか、はたまた家に赤ちゃんでも
  残してきたのか、手を引き歩くスピードをゆるめようとしません・・・。


  「えいちゃんが走ると、お人形さんが泣くよ。」


  女の子のほうを見ると、女の子の右わきには
  きれでつくった人形の足が二本、うしろに突き出ています。
  その先には赤いくつ下がはかせてあって、
  女の子が走るにつれて人形がピーピーと声を立てています。


  「えいちゃんの手がお人形さんのおなかをおしているんですもの。」


  お母さんは、幼な子の心の訴えに焦点を合わせるのを
  避けるかのように、おざなりな答えを繰り返します。


  “そんなに早く歩けない・・・”
  

  “もっといろんなことを話しながら帰りたい・・・”


  “周りの景色や人の様子、空気を感じられるスピードがいい・・・”
  


  そんな幼な子の気持ちは、急ぎすぎる社会の変化に対する
  私たち大人自身の気持ちのように思えます。


  「えいちゃんが走ると、お人形さんが泣くよ。」


  あなたは、どう感じますか?


  みなさんのご意見をお聞かせください。

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