お局様が会社を辞めてしまわれました。




社内政治にあれほど長けている方、ほぼ創設メンバー。(といっても7年目ですが)

前の社長から可愛がられ、今の社長の元でも一目置かれ、

上司は何度も替わっても、一様に自分のシフトは趣味を優先させて火曜と木曜の夕方は空けてくれるよう、他の人には許されない便宜を図らせて来た人です。



空かない火曜と木曜は、個人交渉でシフトを入れ替え、

「シフト変更は大概にしてください」との上司からのお達しも、

「人は暮らして見れば家族を優先しなければならない時がある」とのシフト変更容認社内世論を利用し(造成し)、子供の風邪で欠勤の多い上司を黙らせ、

度重なる遅刻も揉み消し、自分だけ数連休を作らせて海外旅行も行き放題だった人です。

日本にも東南アジアにも行ったから、次は中国だと計画していた強者。

それを噂はされても公式には黙らせる社内政治力を持っていた人。



かつて同じチームで制圧されながら、お人好し三人組が力を合わせて慰め会いミスをカバーし会い、弱味を握られシフトや仕事を押し付けられないようかばい会いながら生きていました。

(現在はわたしがまた同じチームです)




キムさんは、給料もらってもすぐになくなるだろ?

と、別部署の上司から言われるとは、どれだけ広い交流をしているのだろう。



人脈も広く、時々社内で友達の会社のアイスクリームやコーヒーを箱で安値で販売斡旋して「三方良し」をしていたり、いきなり果物の箱を持って来て配ったり、

新任社長の毎朝の巡回時にうちのチームでコーヒータイムをと、素敵な陶磁器の専用カップセットを準備して毎日お出迎えする、感動的に可愛い部下です。

行き過ぎた、いえ、生きた人脈の相互流通に、お金と物と労力の投資を惜しまない人です。



人脈の要所には投資をし、

上には媚びまた弱味を握り、下は粗を探して頭を挙げられない状態に。


利害が合えば強い味方で利害が反すればこてんぱにやられる相手。

顧客相手には、聞きたいことを言ってあげ、えこひいき特別対応をアピールし、できる以上の便宜を図り、できないことでもリップサービスして信頼され、嘘でも言って喜ばれ、

その代わりに一番聞きたくないことでもそつなく受け入れさせる優れ者。



その掌握力でまた上から信頼される人です。




どうせなら、実力を買って(私の便宜を図って)くれるところがいい。


と、社に忠誠を公言していたお局様です。





そのお局様が、規得権を放棄して、会社を辞めました。







ヘッドハンティングです。

オープンした競合会社がうまく行っていて、引き抜かれた元上司がお局様を引き抜いてくれたんです。



沈む陽よりも、登るところで早いうちに基盤を作っとこうと思ってね。



お局様の美学にマッチしたのですね。







ところがです。






3月から競合会社に行くはずだったのに、

なんと採用は中止とのこと。





お局様の普段の素行を知っている職員が採用に反対しているとの噂が、狭い業界、狭い町内の噂で飛び交います。

すでに代わりに来ないかとの早急な求人も、裏で回っている。

先方の会社は、裏で人づてに求人しておきながら、「人は足りているから、辞めずに待ってろ」と、本人およびうちの人事に対して言うのだそうですが、


そんな、人(うちの会社)を無視した扱いに、いくら人手不足とはいえ、うちの人事もプライドがある。


お局様の辞職届けは当初の期日で受理されることになり、

失業者になってしまうお局さまは、焦っていました。






やっぱり、人は誠実に仕事をしなくちゃいけない。

と、わたしらの間の最年長の人がわたしらに訓辞として言いました。






まとめます。



社内政治に長けた実力者であらせられるお局様が、元上司から、ヘッドハンティングされた。



わたしの同僚筋からわたしの耳に入った話は、お局様の素行が問題で採用に反対する人がいて、急遽別の人を探しているということ。



うちの人事を経て社内に流れて来た話では、募集をしたら過剰になった、空きができるまでしばらく辞めさせずに置いておいてくれと。(この勝手さにうちの人事が反発した。)

(話しにならないこの話、きっと元上司が個人の顔で元の職場にゴリ押ししようとする、お局様救済策)



また別筋の噂では、あちらの会社で、部長と課長と衝突していて、お互いが「自分の人脈」で職員を採用しようとして起きたものだと。




つまり、

あちらの社内政治の押し合いへし合いが、

こちらに飛び火した一件でした。






そして、


一旦は宙ぶらりんになりかけたお局様ですが、

当初の採用通知通り、3月からあちらにご就職です。


つまり、元上司が、社内政治に一旦押されはしたが、自分の人脈で職員を採用することに成功した。

それも、最強の助っ人でしょう。



お局様はきっと、新たな地、成長するオープン企業で手腕を発揮して、元上司を支え、権力を広げ、社の業績も上げて行くことでしょう。





最後の最後に、シフト変更の要請電話をわたしにしながら、

一番たくさんシフトを代わってもらった、ありがとうと、別れの言葉をくれました。




彼女はわたしにとって、お姑様に続く、

韓国の象徴のような人です。





パワフルで可愛くて大迷惑な、お局様の未来に幸あれ。






いいえ、心配するまでもなく、

お局様は、力強く自分の人生と、自分の社内権力を広げていくでしょう。



むしろ心配される側は、

お局様に、「沈み行く」と評されたうちの会社であり、

そこに残る私達です。




お局様は、得意の顧客もヘッドハンティングすることでしょうし、



移籍3日目にしてすでに、その徴候は、見えています。