不況だろうがなんだろうが、相変わらず通販は元気みたいだ。
私はどちらかといえば直買主義だけど、それでも布団や紙皿、子供服なんかは利用するし、アマゾンで本も買う。
自分の服なんかは買ったことないけど、肌着程度の安価なものなら抵抗なく利用する。

で、ふと思った。

なんで服は通販で買わないんだろ?

たとえば、7千円とか、1万3千円するものを紙面や画面で見て、決断する勇気がないからではないか。

似合うか似合わないかをジャッジする材料が乏しいからだとするならば
それを補完するものがあれば、紳士服通販の市場はまだまだ広がる可能性がある。

サイズにうとい という欠点は、計ればいい。
計るためのメジャーと、記入用紙を会員に送ったらどうだろう。

こんな仕組みだ。
会員になると無料でメジャーが送られてきて、簡単な説明に従って、身長や肩幅、ゆき、股下、腰まわりなんかを計測して自分の写真を一枚入れて送り返す。

何日かするとメールが届き、自分の顔のアバターが載ったページを知らせてくるのだ。

そしてここからが味噌だが、
好みの女性タイプのコーディネーターをリストから選んで指名すると、ネットを介してだが専属のコーディネーターが就任するのだ。

あとは、四季折々に彼女が選んでくれた服の提案がなされ、アバターに着せた画像が送られてくる。
気に入ったら買う。
予算がなければ、安いものに変えてもらったり、月々定額の積み立てをカードからしておき、貯まったらそれで買ったりする。

彼女の報酬は歩合制にすればいい。

ポイントが貯まるとリアルデートができるサービスがあっても面白い。

逆に、リアル彼女に何か贈るときに相談にのってもらったり、引き出物や香典返し、中元歳暮や付け届け、賄賂など、用途に応じてコンシェルジュ的にアドバイスが得られると便利かもしれない。

通販の欠点は、向こう側に人の存在が見えないからで、商品がわかっているものでないと買いにくいこと。

気心が知れた(と思いたい)バイヤーの存在をバーチャルに作ることで
大転換期が訪れるはずだ。

秋葉のオタクはダサいと相場が決まっているが、これを始めた途端に、最先端お洒落は秋葉発となる。
間違いない。
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正直このネタで七回の連載になるとは思っていませんでした。
さくっ と合格して謙虚に春まで過ごすことばかり考えていましたが、なかなか人生という奴は思い通りにいかないものでございます。

予想どおり、昨日の試験はダメでした。
そして息子は今日も受験です。5連投はさすがにきつそうでしたが、
帰宅した時には晴れ晴れとした表情。自己採点も昨年までのラインならクリアしていると思われます。
しかし、昨夜決まった最後のカードを切ることになり、明日もとりあえず試験を受けにいくことになっており、その間に今日の分の発表といつぞやの第三志望の発表を私が見に行くことになっています。

いい加減ひとつは引っ掛かるだろうと思っている父と子は、明日の対策もそこそこに風呂に入って英気を養うことにしました。

首まで湯につかりながら、明日の発表と試験が終わったら約束だったあるものを買いに行こうなどとお気楽な会話を楽しみます。
ただし、両方ダメな可能性もあるから、最後の試験だけは完璧を期すように念押しを忘れません。

明日は家内が試験に付き添い、私は発表を見に行く予定。
家内の憔悴仕切った表情も気になりますが、その心配よりも、大の大人が本人より先に落ち込んでいることに憤りを感じてしまいます。

とにかく、試験に送り込んだらどこかで待っていなさい。連絡するから と命じ、明日の予定をたてました。

ほったらかしている仕事も気になるし、体力も気力もそろそろ限界。
明日もダメだったら、どうなってしまうのか… 受験失敗で家庭崩壊という例もあるし、気をもむばかりでなかなかねつけません。


明けて六日、

息子と妻はラスト試験に
私は発表へ。
カバンの中には合格時手続きに必要な判子や現金を入れてあります。

息子の試験が始まるころ、望みの綱となった2校の発表が行われます。


緊張の面持ちで掲示板の前に立つ私、

番号は

番号は?




やはり、ない。



不合格よりも、そのことを妻に伝えることの方が辛いですが、メールで


ダメだった。第三志望に向かう


とだけ送り、タクシーを拾います。

こうなってくると腹もすっかり座ってきます。
浪人するわけじゃないし と、ポジティブ思考で不安を押さえ込みながら移動し、到着と同時に淡々と確認します。


なし。



学校を出て電話を入れます。


電話の向こうで涙声になっている妻、仕事をキャンセルして一時間離れた学校に向かうことにしたのは多分懸命な判断だったことと思います。


学校近くの喫茶店で死人のような妻を拾い、慰めながら数時間を過ごすと、最後の試験を終えた息子を迎え、イタリアンで豪華なランチを食いました。


息子は私の表情からすべてを察し、妻の顔も見ながら、今日のがダメなら高校でリベンジを宣言します。


今回の戦いに大きな反省も悔いもないし、六連戦を投げぬいた息子を誇りに思いますから、素直にそれを言葉にすると
息子は少しだけ笑顔を見せます。


最後の発表は今夜、主流になりつつあるネット発表です。


いったん私は仕事にいき、職場で確認して電話すると伝えました。




数時間後、携帯を手にオフィスを抜け出しタバコに火をつける私は、震える手で発表サイトにアクセスします。


つながった。

携帯の画面に少しずつ表示される数字の列は、これを見ている人にだけ重い重い意味があるんだろうな と考えながらスクロールしていきます。



12345
23456
34567




67890

スクロールは最後のページになり、そこに




あった!


あったぞ!


じんわりと安堵感が広がり
誰もいない喫煙所でガッツポーズ。


妻に電話を入れます。


あったぞ。

本当?本当なの?やっと、あの子を認めてもらえたの…?
今日二回目の涙声の電話。
でも、その意味はまったく異なったものでした。


息子に手短に祝いを伝え、席に戻ると
全身から力が抜けていきます。



我が家の四年にわたる受験はこうして終わりました。
結果は大事だけど、その過程はもっと大事。
苦労と我慢を骨の髄まで味わった息子は、きっと強くなったと思います。

修羅場をひとつ潜り抜けた男の子は、一回り大きく、頼もしい青年になってきました。
私の子育ては、たぶんかなりの部分がこれで終わったのだと思います。
金も時間も気力も使いましたが、これが子育ての一つの形なら、まんざら悪くない。 
そう思います。
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二月四日、予定なら既に受験は終了し、喜びとともに暇をもてあましているはずだった。
現実は、悲愴感漂う空気を払い除けつつまだ残る試験にむけて体当たりチャレンジしなくてはならなくなっている。

現時点で可能性が残っているのは昨日の第三志望と本日と明日の2校を合わせた計三つ。
ここまで引っ張ることも視野に入れて当初から出願してあった。

舞台を用意するのは親の仕事なので遺漏なくやってあるが、そこで踊るのは本人である。
気力、体力、知力のどれが欠けてもスカウトマンの札は上がらないサドンデスマッチ。
ここまで来ている子供たちは皆同じような境遇であろうし、最後は精神力の戦いだ。


いずれにせよあと二日、延長戦はもうすぐ終わるから頑張りな、と励まし 私は仕事へ、息子も試験へと出かけていった。



その夜、採点をしてみるとかなり難しい結果になったこともあり、
私は声をかけた。


今日の結果は期待しない方がいい。明日の試験がラストチャンスだと思って
死ぬ気でやりなさい。
これまでの四年間の集大成を答案にぶつけるんだ。


明日が最後なんだね と不安そうな息子に私は切り札を切った。



そうとも言いきれない。

え、どうして?

隠し玉を用意してある。
この学校だけどあさって受けてみるか?
と、学校案内のパンフを差し出した。


実は全滅覚悟の上位校のみ狙いを決めたときに、ワンランク易しいこの学校の願書もこっそり出しておいたのだ。


最新鋭の設備に特色あるカリキュラム、豊富な部活動に魅入られて息子は一も二もなく 受けたい! と叫んだ。

よし。じゃあ、この学校も行きたい学校として受けるんだね?
入れる学校だから行くのではなくて、行きたいから受けるんだということでいいんだね?
と、念を押した。

大きく頷く息子。

このプロセスは一見無駄のようだが、実はとても大事だと私は思っていたので
しつこいほど念を押したのだ。

仮に入学に至ったときは滑り止めに行ったというコンプレックスを残さないため
そして不合格だった場合は、格下にも負けたというショックをやわらげるためでもある。


初めからこのカードを切れば、彼は拒否したかそれともここに逃げたかどちらかだろうから、タイミングとしてはこの時しかなかったはずなのだ。

これでカードは残り一枚から二枚に増えた。
不安感も和らいだようで目に力が戻ってきた。

過去問置いておくよ、アイス買ってくるから見てみなさい、と言い残して部屋を出た。

しばらくして戻ると
この問題なら絶対受かる!と息子は豪語している。

確かにシンプルで捻りの少ない問題が多く、彼の実力なら楽に解けるに違いない。

気分よく明日を迎えられそうな予感を胸に、床についた。


つづく
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通算で試験四日目、連続三日目であります。
甲子園の投手でも最近は3連投はありませんが、受験生は過酷です。
3連投、それも先発完投を要求されます。

我が家のエースは、今日が最後だと思っています。
なぜなら、第一試合と第二試合の発表が出て、自信のない第一試合はともかく、第二試合を取って、準優勝を確信しているからです。

しかし、受験に絶対はありませんから、今日の第三試合にも万全を期すことが必要なくらいは本人もわかっているのでしょう。
それなりに緊張しています。

この第三試合は問題がベーシックなので、驚異的な正答率が要求されます。
安全ラインは全教科九割は欲しいところです。
つまり、1教科2問が誤答を許される範囲ですから、注意力勝負となります。

校門で送り出し、一人で帰宅するように伝え、私は合格発表を見に向かいました。


あるかな

あるよ、きっと

ないわけない

でも、ひょっとして…

いやいや、あるに決まってる。



掲示板に番号があることを願いながら、時に早足で、時にゆっくりと、第二志望の学校に向かいました。



合格発表に行ったことがある方なら、合格者は手続きの封筒を受け取り笑顔で、不合格者は手ぶらで学校を後にする光景をみたことがあるでしょう。

遥か昔、自分の入試時に手ぶらで校門を出るのが悔しくて、泣きそうになった記憶がくっきりと蘇ります。

今日もまた、笑顔の夫婦やら蒼白の顔で携帯を握り締めた母親やらとすれ違い、発表の残酷さを改めて感じていました。


おもったよりもスムーズに掲示板前に来てしまったのは、受かる!と思っていたからかもしれません。
しかし同時に昨日聞こえた囁き声も耳にこびりついています。


さて、受験番号は××××× か。





ない…。



やっぱりない。


脇の下にツツー っと、厭な汗が流れました。


妻にどう伝えたものか

今夕、息子になんていうべきか


メールで妻に
蕾、未だ開かず  とだけ打ち、期待の薄い第一志望校に向かいます。



覚悟していたものの
第一志望も散ったことを確認すると、どっと疲れが出てきます。



当事者の息子
うなだれて悲嘆にくれるであろう妻
インフル菌に苛まれている下の子
仕事放棄の上司により、未決済書類を抱え怒り狂う部下


一人で四人の相手をしなければいけませんが、その順番はどうするべきか

まずは部下に詫び、指示を出し
妻に電話して慰め、息子への対応を指示し、
下の子にマンガを買い与えて仕事に向かいました。


早々にオフィスを出て今や自宅となったホテルで息子を励ましますが
どうしても納得がいかない様子です。

しかし、こうなれば第四第五志望に挑むしかないわけで
気を取り直して過去問対策に向かうしかありません。

勝ちがいつまでも続かないように、連敗も永久に続くことはない。


二人して呟きながら、何時の間にやら眠りに落ちておりました。


つづく
下の子は予防接種をしていたにもかかわらずインフルエンザになった。
息子は勿論、仕事が最繁忙期にある自分もかかるわけにはいかない。
家に戻れない二人は自宅の正面にあるビジネスホテルに泊まることにした。
一泊2万円近い出費は痛いし、なにより入試の最中に非日常を持ち込むことに大きな不安を感じたのは言うまでもない。

神は私たちにどれほどの試練を与えようとしているのだろう…

不幸中の幸いは、第一志望の入試が今日終了していることではあるが
息子の様子を見るかぎり、自信ありには見えない。
おそらく、ダメだろうと予測して結果が出る前にある第二第三志望の最終対策を考える。

しかし、キングサイズのふかふかベッドは息子の心を鷲掴みにし、彼を眠りへと誘ってしまうのであった。

明けて二月二日
第二志望の入試にも付き添って行った。
校門で別れ、足早に職場へと向かった。



夕刻、ホテルの部屋で落ち合うと、すっかりくつろいでいる息子
まるで田舎の道楽息子が大学受験で上京しているようなアーバンリゾートな空気に満ちている。


息子は笑顔だ。
自信に満ち溢れている。


問題を自己採点してみるが、七割近くはとれていそうだ。
もし、申告が事実なら間違いなく合格だろう。
私もようやく笑顔になった。


しかし、頭の隅で誰かが呟いている。


(〆鯖、やつの自己採点のいい加減さには何回も痛い目にあってきたでしょ)と。


明日は第三志望の入試と、第一第二の発表がある。


面接の練習だけして早く眠ることにした。


つづく