こんにちは、小娘です。

大寒も過ぎ、いま一年の中で最も寒い時期に私たちは生きているのです。

暖房を効かせ、背中に2枚桐灰を貼り、炬燵に下半身を突っ込んだワタクシ小娘が、今回のテーマ「つ」から【ツアーコンダクター】をお送りしたいと思います。



ツアーコンダクター【つあーこんだくたー】

平均月給:159,833円(関東圏)


ツアーコンダクターは、お客様が楽しく安全に旅行ができるようスケジュールを管理し(チェックイン、チェックアウト、レストラン予約など)、案内や世話(病気や盗難があった場合の対応など)をする仕事です。ガイドとの違いは「スケジュール管理に重きを置いている」ことでしょうか。というのもツアーコンダクターは本来、ガイド業務は行ってはならないものらしいですよ!(特に他国でガイドを行うには殆どの場合国家資格が必要です。…国によっては無資格でもOKだとか)まァそうは言えども各地の文化や歴史、名物や料理などの簡単なガイドくらいは行っているようですが。



ツアーコンダクターって、お客さんと同行して泊まって食事する。つまりロハ旅行!って思うじゃないですか?(思わない? あらそう。

ツアコンさんたちはお客様たちの世話などがあるので、大抵同じホテルなり旅館なりに宿泊するのですが、ホテルが満室だと安い旅館や民宿に飛ばされるそうです。これを業界用語では「他館」と呼ぶのだとか。

勿論お客様と同じホテルに宿泊するとは言え、同レベルのお部屋に通されるわけがなく、乗務員専用のお部屋に通されることが殆どで、酷い場合にはワケアリ部屋に通されることもあるみたいです。


ワケアリ部屋。

ま、大方予想はつくと思いますが、ナンかがヒュッと出てくるわけです。

真夜中に。


何度も不思議かつ恐ろしい体験をしても、ツアコンこそが天職と誇られるプロの皆様って根性据わってますよ。ホント。



県名も温泉郷名もホテル名もイニシャルでぼかされているものの、何となく「あのホテルのことだろうなァ」というのが判るので、私は旅行する前に宿泊する旅館が清らかか否かを某サイト様で必ず確かめています。(The★小心


数年前に相方と「伊豆半島弾丸ツアー」を決行した際のこと。

事前に宿をとらずに行き当たりばったりを愉しむ旅行だったのですが、当時の相方の車にはナビが付いていなかったため、どの辺りにホテルや旅館が密集しているのか全く分からず、日の暮れを見計らいながらその日の宿をとることにしました。

I温泉の観光案内所で紹介してもらったのは、Kというホテル。パンフレットを見る限り特に問題なさそうだったので即決しました。宿に着いてからも特に問題はなく、至って普通に部屋に通され、至って普通に大浴場までのルートを説明された私たち。私はすぐに大浴場へと向かいました。



もうもうと湯気が立ち込めた大浴場に反響する、ざあざあと湯の流れ落ちる音。

座イスを引きずる音も、洗面器の音も、人の話し声も何も聞こえなかったので、貸切だと一人感激していました。髪は後でゆっくり洗おうと、体を流して湯に浸かり一息つく。その間もざあざあと響く流水音。上機嫌ついでに鼻歌なんて歌ってると、やけに自身の声が反響します。誰かが急に入ってきたら・・・と思い、自重しました。急に静かにすると、無音さがやけに耳につくものです。



少し、不思議な気がしました。

時刻は18時過ぎ。今はオンシーズン。旅館に着いて部屋に案内される間も、この大浴場に向かう間も、そして今ここで温泉に浸かっている間も、いくらなんでも・・・



誰にも会わないというのは不自然ではない?



そうです。私と相方は、このホテルに着いてから我等以外の客に出会っていないのです。

それに気付くと、ぞくりと身が震えました。悪い考えはやめようと思っても、耳は貪欲に辺りの音を拾おうとします。先程から響いているざあざあという湯の音。その合間に何か、声が、聞こえるような。


ひそひそひそひそ。


流水音にかき消されるようにして、女性の話し声が聞こえます。

それも一人ではなく、おそらく複数の。


ざばーん、と立ち上がれども、何をどうしたらいいのか分りません。

髪を洗わなきゃ、って洗えるかーッ! と一人突っ込みながら洗い場でもじもじする私。


ざあざあざあざあ。

ひそひそひそひそ。


あ。もう駄目。無理。

私は「何も気付いてませんから」という雰囲気を纏い、上ずった鼻歌を歌いながら、脱衣所へと脱出しました。

部屋に戻った私は恥を忍んで、髪を洗っていないので部屋のシャワーで洗います。君はテレビなどを見て過ごしておくように。決して部屋を出ないように。と相方に言い渡し、浴室にこもりました。



あれはきっと幻聴です。水の音が反響して、女性のひそひそ話に聞こえただけです。

死人の霊魂が悪さをするなんて発想自体が、この世のものだもの。

現代科学、万歳。


ツアーコンダクター


『平成お仕事広辞苑』 第18回【ツアーコンダクター】

―終―

writing by 小娘


AD

解説!調理師

私、今一番欲しい資格は?と尋ねられれば

「調理師!」と迷うことなくお答えします。


調理師・・・ 憧れの職業であります。



実はひそかに私は、チャンスさへあれば飲食店に転向したい

との野望を持っております。


グラタンと唐揚げの店を経営したい。


飲み物はカルピスとマミーとコーラスの三種だけ


アルコールなんて置きません。


唐揚げでカルピスをやり、メインにはグラタンでマミー。



そんな店を出したい。シェフとしてやりたい

そう願っております。

客なんてこなくてもいいんです。


黙々と唐揚げを揚げます。

こんがりと

狐色に。


熱々でジュウジュウ音を立てた

焦げ目の旨そうなグラタンも作ります。


共同経営者募集中

AD

皆さんこんにちは。小娘です。

今回は「ち」の職業なのですが、これまたなかなか見当たらない。

思いつくものは、ちんどん屋・チーママ・痴漢など一風変わった職業や職業とは呼べないシロモノ(犯罪です)ばかり。

困った挙句に家族を巻き込んで検討会を行ったところ、普段はどうでもいいことしか言わない父親が、どうでも良さそうな顔をして「調理師はどうだろう」と珍しくまともな意見を口にしました。この度のお題は、そんなまともな父を記念して【調理師】で進めさせていただきたいと思います。

調理師【ちょうりし】

平均時給:915円(関東圏)

恥ずかしながら私、今まで存知上げなかったのですが、厨房にて腕を振るうキッチンスタッフは別に「調理師免許」を持っていなくても仕事が出来るのですね・・・(アルバイトなんて特にそうですよね・・・)

とは言うものの調理師免許取得を雇用条件に挙げている店も多いそうで、仕事を長く続けたり、転職・再就職にも有利に働くらしいです。

アルバイトで採用されると、まず皿洗いや後片付けから始まって、徐々に調理の手伝いを任されていきます。食べ物を扱う仕事なので、清潔さが一番!身だしなみには充分気をつけなければなりません。

飲食店で調理人の仕事を目の当たりにする機会って、実はそんなにないものです。目の前で調理して提供されるお店というのは、サービスも値段も張るものだと小市民の私は認識しているのです。

我が家の近くにちょっと有名な日本料理店があるのですが、小娘な私には敷居が高すぎて、不可侵領域に認定されています。聞くところによればここの大将はかなり気難しいらしく、気に入らないお客には刺刺しい対応をされるのだとか。具体的にどういう態度が大将のNG行動なのかと問うと、情報提供者からは「出されたものをすぐに食べない、とか?」と何とも歯切れの悪い返答が返ってきました。うーん、それってどっちもどっちじゃないのかしら。一番美味しいタイミングで持ってこられたのだから箸を止めずに食べるべきだし、大将もお客と認めて店に上げたわけなのだから、彼女が店を出るまで料理人としてのサービスを提供するべきじゃないのかな、と。

でもまァ、サービスと言っても色々ありますよね。人によって美的感覚が違うように。

数年前に鮨屋に連れて行ってもらった際、気を良くした大将が「すっぽんを食べさせてあげよう」と仰ったのです。当時の私はすっぽん料理を食べたことがなく、料理に多少の興味もありつつも「えっでも、所詮亀でしょ」という不信感を拭えず、喜ぶべきか断固拒否するべきか対応を決めかねていました。

カウンターを抜けた大将はおもむろに私たちの後ろに立ちます。つられて背後を見遣ると、そこには虫かごが。えっえっ何!? と思っていると、大将はそこからすっぽんをひょいと取り出したのです。

「この間釣りに行ったときに取ったんだ」

ちょっと時間をください。

すっぽんって、すっぽんって・・・・市場で取引されて店に卸されるものじゃないのですか!?

川原でふつーにヨタヨタ歩いているシロモノなの!?

そんな、そんな・・・・ザリガニを獲ってくる小学校の男子とはワケが違うのですよ!?

嬉しそうにすっぽんをカウンターへと持ち帰る大将と、鮨屋に連れてきて下さった御仁の笑顔を、誰が撥ね付けることなぞ出来ましょうか。

食べましたよ。

飲みましたよ。

生血とかね。

鍋とかね。

出された経過が強烈過ぎて、今や味覚は失われております。

アレもサービスって言えばサービスだったのですよねェ。

是か非か、明言することは避けさせていただきますが。


調理師

『平成お仕事広辞苑』 第17回【調理師】

―終―

writing by 小娘

AD
先日乗ったタクシーでこんな話を聞いた。

最近は景気どうです? と、私。

いや~~ それがお客さん、聞いて下さいよ と、運転手。



先週ですかね、東京駅で二人連れを乗せたんですよ。

それがね、W不倫の果ての駆け落ちだって言うじゃないですか

女の旦那が筋者で、新幹線で逃げてきけど、まだ怖いんで北海道まで

行ってくれって言うんですよー。



あたしもね、こう言っちゃなんだが好奇心の強い方なんで

分かった。行ってやるよってんで北海道まで行きやしてね・・・。

で、まぁその日は福島まで行きましてね泊まったんですが、

女の方がね(ニヤリ)同じ部屋でいいじゃないかって言うんですよ

その先はね・・・ふふふ

いやぁー タクシー乗っててね こんな経験は初めてですよ お客さん



で、料金はいくらだったの?

それが・・・メーターは20万ちょっとだったんですけどね

札幌で二人に逃げられちゃいましてね・・・



訴えればカミサンにばれちまうし泣き寝入りですよ お客さん


何が起こるか、誰が乗ってくるか、1分先の未来も予測できない仕事。
ドラマチックワークなタクシードライバー。

先日乗った別のタクシー、運転手さんとの会話も弾む。

『いやぁ、運転手さんも道、詳しいですねー』 
「まぁね、長いことやってっから」 
『ふぅん、今年で何年?』
「去年で丁度五十年でしたわ」
『え? てことは今、おいくつ…?』



「来月85になります」



『イタタ 急に腹が痛くなってきた。スミマセン、そのビルの前で降ります。』
「どうします?待ってましょうか?」


『結構です!』

乗客にとっても、かなりドラマチック。

皆さん、こんばんは。小娘です。

『平成お仕事広辞苑』も早いもので「た」行に突入いたしました。


さて。この度のお題は、皆さんも普段ご利用されている「タクシー」です。東京では禁煙タクシー化が怒涛のように押し寄せ、愛煙家にとっての数少ない憩いの空間を剥奪されてしまい、大いに嘆いている、というニュースを先日目にしました。我が家には喫煙者はいないため、喫煙者がどういう時、どういうタイミングで煙草を咥えたがるのか、正直判りません。友人や同僚を観察するに、食事の後、はたまた手持無沙汰の時などに好んで吸っているようですが、タクシーはこの後者に当たるのでしょうか。煙草を全く吸わない私としては、何を好き好んで密閉された空間で燻製されたがるのか理解できない次第であります。


タクシードライバーって、よくよく考えてみると奇妙な仕事ですよね。人を箱に乗せて運ぶ。それも全く面識の無い人間を。一時間後、自分がどの場所に居るのかも予測できない。ある時には一人の客を乗せ、会話も無く同じ空間を共有する。またある時にはサラリーマン2人を乗せ、後部座席で繰り広げられる社外秘の会話に耳を澄ます。またある時には不倫のカップルを、家出少女を、犯罪者を、私を、タレントを、実に様々な人間を乗せる。

そう。後部座席にはいつも物語が広がっているのです。(良いこと言った


ドライバーだって全員が全員、善人ではありません。若い女の子がいたら助兵衛働こう等と考えている不届きな輩が居ても、有り得なくは無い訳です。それを危惧する心情が働いた為かどうかは定かではないのですが、私の周りの女性はこぞって「個人タクシーは止めときな」と口を揃えて言うのです。お嬢ちゃん悪いことは言わねェ的な口調に少々驚きを隠せませんが、毎度違う人間から同じようなことを言い聞かされると、組合に入っているタクシーの方が安全なのかと錯覚してしまいます。(私は個人タクシーを卑下しているわけではありません!どんなに酔っていても、組合云々関係なく、初乗りが安いタクシー選んでますから! あ、あれッ、これフォローになってな・・・


密室で見知らぬ男性と2人っきりという状況を忌避したい。

その気持ちは判らなくもないです。エレベーターでさえ気まずいのに、その何倍の時間も2人っきりで閉じ込められるタクシーは、心神への負荷も相当なはずです。

私としては、腰を落とした瞬間、柔らかな口調で行き先を尋ねられ、さり気なく室温を気にし、後は放っておいてくれるドライバーが好ましいかと。見りゃ判る今日の天候とか、トラフィック情報とかは正直煩わしく、お互いの立場を踏まえた会話の応酬は大変労力を要するものなのです。(こんな書き方をすると私が冷徹な女に見えますが、××方面の○○交差点は事故で渋滞してましたヨ~、なんて言われても、そうですか、しか言いようがないじゃないですか・・・


社交家で話好きのドライバーは、こちらのテンションが低い時にとって、その弾んだ声さえもクリティカルヒットになってしまいます。


これはついこの間友人から聞いた話です。

夜勤明けで疲れた体を車内に押し込み、うつらうつらしていると陽気に話しかけられたのだとか。彼女は初対面の人からも気軽に話しかけられやすい性質なうえ、サービス精神も旺盛なので、うっかり応対してしまったらしいのです。案の定ドライバーは更に饒舌になり、話はドライバーの最近の趣味へと移行。彼はハーモニカに凝り始め、そのレパートリーも増えてきたらしい。止せばいいのに「うわァ、ぜひ聞いてみたいですね」などと口にし、その言葉に気を良くしたドライバーはおもむろに懐からハーモニカを取り出して一曲、披露し始めたのです。


季節は冬。

街は華々しくライトアップされた、ムーディーなクリスマス・イブ。

そして車内に響き渡るメロディーは、定番のクリスマスソング・・・。


密室で。

いい年したおっさんと2人。

運転中に片手で演奏。

しかも、ハーモニカ。


アハハ。物凄く迷惑ですよ、それ。

引き攣った笑みで語った彼女に私は、素敵なクリスマスプレゼントだね!と返しました。

彼は今日もどこかの道で、ハーモニカを披露しているに違いない。



タクシードライバー【タクシードライバー】

月給例:約20万円~


定年退職された人の再就職先として有力な職業のひとつ。その為、50歳以上で現役活躍されている方も多いです。必要な資格は普通自動車第2種免許で、タクシー会社によっては免許取得のため養成を行ってくれるところもあります。お客様を目的地まで運ぶことが仕事なので、周辺地図を頭に叩き込んでおくこと、そして、勤務時間が長いため健康管理を行うことも、ドライバーに課せられた大切な仕事です。






『平成お仕事広辞苑』 第16回【タクシードライバー】

―終―


writing by 小娘









タクシードライバー