大型トラックドライバーと聞いてイメージするのは、私の場合、木梨憲武。

何枚目かのとんねるず初期のアルバムで、木梨憲武がラジオ放送の中継でインタビューされるというコントが挿入されていた。
不思議なもので、二十年経った今も大型トラックドライバーに扮した木梨が運んでいた荷物が「春菊」であったことを鮮明に記憶している。

なにを運んでいるのですか?と聞かれた木梨が、嬉しそうに「春菊っ!」と叫ぶ声に込められた(俺が運んでるから、沢山の家庭で明日のすき焼きが成立するんだ)的な、ささやかな誇りを感じたせいかもしれない。


菅原文太あにぃ風なドライバーは平成の今となっては稀少種となり、木梨的、見栄晴的、彦磨呂的な いい人 が主流を占めているような気がする。


規制緩和から業者が激増、輸送価格の下落。高速代の自腹負担、拘束時間の長期化、荷積み荷降しの義務化など、彼らの負担は想像を絶するほど重い。
それで二十万そこそこの月給、腰痛に肩こり。

それでも彼らは走り続ける。


泊まり掛けの仕事も増えた。もちろん、トラックのシートで眠る日々。
一人娘の誕生日に、DSソフトを買ってやるために。

同じ頃、自宅の妻は温かい布団の中で、パチンコやで知り合った男友達と眠っている。


日本中の家庭に団らんのアイテムを運ぶ重責を担って、
いつの日か、子供が作文に

『幸せをみんなに運ぶ、うちのお父さん』と書いてくれる日を夢見ながら



今日も街道沿いのすきやでメガ牛丼をかきこみながら頑張っているニッポンのお父さん。


バックミラーにぶら下がった写真では、まだ優しかった頃の妻と娘が笑っている。



世界一報われない男ランキング8年連続ナンバーワン 大型トラックドライバー

私は、彼らを見かけると、見えないところからそっと、手を合わせてしまう。
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大型トラックドライバー。

この職業を聞いただけで何というかこう・・・演歌とか、ねじり鉢巻とか、デコトラとか、そういうイメージが先行して濃縮された男臭さを感じずにはいられません。

「宵越しの金は持たねェ!」みたいな粋な野郎は、専ら長距離ドライバーにこそ相応しいと思うのですが(押し付けがましいイメージ)、今回はヤマトさんや佐川さん等の割と狭いエリアを行き来する大型トラックドライバーさんに焦点を絞って、駄文を綴っていきたいと思います。


大型トラックドライバー【おおがた とらっく どらいばー】

平均時給:1,157円(関東圏)


t以下のトラックを運転する場合は普通免許の取得だけで事足りますが、5t以上の大型トラックを運転数場合、大型一種運転免許が必要です。

荷物を目的地まで搬送するのは勿論、荷物の積み下ろし作業もドライバーの仕事。中には重い荷物もあるので、自然と引き締まった体が作れる事請け合い。

ドライバーに必要なのは運転技術だけではありません。

荷物の引渡しなどの接客も行わなければならないため、対応の良さもドライバーに求められています。


近頃は女性ドライバーを見かけるようになりました。

運転技術が著しく低い私としては、自分よりも大層大きな車を平然と操るそのお姿に、凛々しさを感じずにはいられません。

しかし、運転技術が如何に高かろうが肉体はやはり女性。

重い荷物にしかめっ面をなさったとして、一体誰が文句など言えるでしょうか。

いつも重たい荷物を軽々と運ばれていらっしゃるので、先日その女性ドライバーさんに「あ、その荷物はカウンターの上に載せてください。」とさらりと注文をつけたのですが、凄く切なそうな顔をされたので慌てて「あ、重いんですよね、ごめんなさい!いいんです、どうかそのままで、そのままで!」と大慌てで発言を撤回しました。

・・・・人間、出来る事と出来ないことがあるものです。


そうですよ。人間だから出来ないことがあって当然なんですよ。

例えば、宅配時間を指定するサービス。あれはドライバーの負担を相当重くしているはずです。交通渋滞に巻き込まれたり、配送先でトラブったり、イレギュラな仕事が発生したり、スケジュール通りに進められない事だってあるでしょう。

だから荷物が少しくらい遅れて届いたとしても、それは仕方がないではないか・・・・と思っていたのは前職の頃の私。

現在では荷物の到着を今か今かと待ち侘びて、荷物を引っ手繰るように受け取ると、必要書類を営業ごとに振り分ける日々を送っています。荷物の到着時刻が510分遅れただけで、業務に支障を来たし大問題になってしまうのですから仕方ないのです・・・。


伝票には「8:30必着」と書いているのですが9:00を回っても荷物が届かないことが頻繁に起こり、一度、


「朝の配達は山ほどあって忙しいかもしれませんけれども

 伝票には8:30と書いていますしせめて9:00までお届け願えませんか

 無理ですか無理な願いですかコレはどうなんですかエエ?」


という内容の科白を、額に青筋を浮かべながらもニッコリと、

しかし語気を荒げることなく丁寧にコールセンターに申し出でましたところ、9:00までに届けて下さるようになりました。

(あの時、社内は水を打ったように静かになったなァ)

こうやってサービスが過剰になっていくのですよね。

その原因の一端を私自身も担っているかと思うと、正直辛いです。

(いや本心ですってば!)


とまあこんな面倒くさい顧客にも、きちんと目を合わせてニコヤカに対応してくれるドライバーは非常に好感が持てるというものです。

・・・彼はいつも少し業務が落ち着いた時間帯に現れます。こちらから荷物の依頼をする事がないので、いつも配達してくださるだけのお付き合いなのですが、配送ルートが長らく変わらないため親近感が湧いております。

夏の終わりに一度ビルの下で会い、軽く世間話に興じたことがありました。彼は不意に「夏には花火に行かれましたか?」と聞いてきたのです。何故急にそんな話を振ってくるのかと訝しく思ったのですが、内心は来たよ!的な気持ちもあると言えばあったわけです。案の定「彼氏はいないのですか?」と尋ねられました。久方ぶりに殿方に女の子扱いされた私は舞い上がり、危うく「抱いてください!」と口走りそうになりました。(いろんな経緯をすっ飛ばしてコトに至ろうとしていたのか私は・・・)


ダルビッシュ有選手に似た男前の彼。その一言がしがない事務員を一ヶ月元気にさせてくれました。

トラックドライバーがお客様に届けるのは荷物だけじゃないのです。

愛とか勇気とか希望とか、

そういう目に見えないものも届けてくれたりするんですよ。






『平成お仕事広辞苑』 第5回【大型トラックドライバー】

―終―


writing by 小娘




大型トラックドライバー

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A エステは気持ちいい

B エステは効く

C エステはボられる


これらのフレーズは常に3点セットでやってきます。


エステは快楽を提供するリラクゼーションに“効く”という医療行為イメージを付加したサーヴィスです。

そして事実、「効く」のです。

ただし、その効能は短く、明日になれば元に戻ります。

車のパフォーマンスを上げるために

レギュラーガソリンからハイオクに替える行為

それがエステの本質に似ているのです。

ハイオクはレギュラーより高いものです。当然です。

この世は全て「高かろう良かろう 安かろう悪かろう」で動いているのです。


しかしカローラにハイオク入れても限界があります。

マークエックス、クラウン、レクサス と車種をグレードアップしていけば

ガソリンの効用以上に高いパフォーマンスを手に入れることはできますが

人体の場合は乗り換えるわけにはいきませんので

エステに通ってひとときの幻に酔いしれることになります。


セルライトなんてものは、割と簡単に移動するそうです。

腹にあるものを背中に集めることなんて雑作もないこと とプロは言います。

テレビの特集などで「わずか2時間の施術で ホラ、この通り!」なんてウエストの縮小を出しますが

そんなのは一瞬の幻なのです。

明後日になれば元の木阿弥、あるいはそれ以上に・・・・。


夢を見せる白衣の魔術師、夢の見物料はニコスカードの5年ローンで御請求


それがエステティシャンのお仕事です。

決してイケナイ仕事ではありません。何しろ夢の値段はプライスレス。

いくら請求してもOKですが、支払い能力とお客様の欲望を天秤にかけて値段は決めねばなりません。


私の近所に大手エステ会社の本店らしい白亜の城があります。

定期的に黒い就活スタイルの女の子が集い、やがてピンクの施術服姿に成長します。

そして彼女たちのほとんどはいずこともなく消えていくのです。


会社は募集をかけるときに「人の幸せの御手伝い」という側面だけを煽ります。

確かに事実ではあるのですが

「幸せの対価の強制徴収」という半面を伝えないので、半年ほどで彼女たちは消えていくのです。


ただで夢が見れるわけないだろ! と開き直ればいいのです。

宝くじだって金出して買うだろ? と突っ張ればいいのです。

お客様が、ほかならぬアナタが! きれいになりたい なんて大それた野望を抱くから・・・

と言ってやればいいのです。


マンションだって築30年になれば、汚い壁を塗るのに足場組んで職人が何人も何日も

数百万円払ってお色直しするじゃないですかぁ~ と言えばなっとくしてくれるはずです。


その心を鬼にして夢を提供するプロデューサー魂がない限り

エステティシャンとして大成することはできません。

わけのわからないネズミやアヒルの着ぐるみが踊る姿を見せて数千円もふんだくる会社が善であり

ネズミのような肌をアヒルのように白くする魔法使いが悪のはずはないのです。


美と言う摩訶不思議な基準を媒介に

騙すのも、騙されるのも女性である と言う事実

そこに女の性(サガ)を感じずにはいられないのです。

  


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新聞の折込に、テレビCM、雑誌の広告ページ、街頭で見かける巨大広告。私達は日常の至る所で、エステティックに関する広告を目にしています。

ゲルマニウム温浴や岩盤浴を始めとする新しい美容は次々と生まれ、話題性やその効果に期待して身銭を投じる女性達。いや、もはや美容に関心を示しているのは、女性だけではありません。目下、男性をターゲットとしたエステも認知されてきています。


とまあ、こんな具合で常日頃からエステ広告を浴びるように目にしていると、各広告の煽り文句や(「まだ間に合う!この1ヶ月の勝負が夏を決める!」みたいなキャッチとか・・・予備校の煽り文句のよう・・・)、モデル女性の体を張った証言PHOTOなど(beforeafterを惜しげもなく披露される女性の肝っ玉に感心する次第)、似通ってはいるが微妙な差異などに笑いを覚えてしまうのは私だけでしょうか。



エステティシャン【えすててぃしゃん】

平均時給額:1,317円(関東圏)


現在のエステティックは「髪を除く全身の手入れ」を指しているそうです。エステティシャンは医療従事者ではありません。勿論、国家試験も在りません。

(ちなみに20083月よりエステティック業界によってライセンスが導入されるそうです。)

医療とは一線を画していますが、人の体に触れ、施術を施すわけですから人体の仕組みに造詣が深く、心理学を学んでお客様の心のケアを図り、サービスの向上に勤める必要があります。更には化粧品や美容機器の取扱いについても正しい知識を身に付けなければなりません。



私はエステに興味を抱いてはいますが、実際には行ったことがありません。初めてのモノ・コトに過剰なまでに警戒心を抱く保守的な性格が災いしているのだと思います・・・。

(ウブなんですよ!意外に☆)


それにエステというと、自分ですら認めたくない腹肉や腿肉を弄られた上、『そんなに問題視する事態じゃないよね』と自らを欺いている肌状況を「このシミが」「あのシワが」などと、簡単に看破され、挙句の果てには自分が思っていた以上に事態は深刻なのだと真面目に語られ、食生活やプライベートまで遠慮なしに突っ込まれ、暴かれる・・・。そんなイメージが先行して積極的に出向く事を憚られます。



ああ、前言撤回させてください。

一度高校生のころ、エステに通ったことがありました。とは言っても、美容としてのエステではなく、エステと漢方をミックスさせたサロンですが。

当時、アトピーが酷かった私は藁をも縋る思いで、そのお店にお世話になりました。体質を内側から改善するのが目的です。

よく分からない草を煮詰めた不味い薬を自宅で煎じました。

古い角質を除去するために顔・首を中心にエステのようなマッサージを受けました。

そして、更には「気功」までも伝授されました。


そうです。気功を学んだのですよ。(半笑い


それは、学校を休んでまで参加した1泊2日の漢方旅行in宮浜温泉でのことです。

東洋医学を学んだ中国人医師に「アナタ虚ノ体質ネ!」と診断され、私の体質に合った漢方を調合していただき、最後には患者全員を集めて「1日2回ヤリナサイ」と指示されて10分間行う気功を指導して戴きました。

何をさせられるか分からぬまま、部屋に押し込められ、いきなり「気功を教えますので家でも行ってください」と言われた者の気持ち、分かりますか?w

しかも「アナタ足の曲ゲ方違ウ」と駄目出しされる者の気持ち、汲み取れますか?w


この漢方エステが功を奏したのかどうかは定かではありませんが、現在肌は落ち着き、「え、アトピーなの?全然そうは見えないね」と言われるまで改善されました。



エステは、目に見える変化を期待してはいけません。

エステに行けるというステータスを味わわなくては。

他人に肌を委ねる快楽を愉しまねば。


非日常を日常の延長線で愉しんでこそ。



最後に。

エステティックの基本は人を心身ともにリラックスさせ、内面的な美しさを取り戻させること、らしいですよ。

やっぱりエステに即効性を求めちゃ駄目ですねー。



エステティシャン



『平成お仕事広辞苑』 第4回【エステティシャン】

―終―




writing by 小娘


ウグイス嬢、その職業については小娘嬢がかなり詳細に語っているとおりである。
しかし、誰もがその存在を認知しているにもかかわらず、具体的な仕事内容や求人、待遇などについては闇の中という不思議極まりない職業とも云える。
これは素人とプロが共生し、ウグイスを必要とする場所である日突然、自然発生するという期間限定な仕事という特殊事情のせいである。

ウグイスを分類すると
1、ウグイスや所属のプロ
2、ご近所の雛
3、党派お抱えめんどり

の三種に大別される。
3のめんどりとは、公明、共産、社民に多い。所謂、思想宗教つながりのおばさんウグイスであるが、ウグイスと呼ぶにはあまりに声が太く、脂がのっている。
めんどりの仕事はセリフを話すことであり、ビジュアルは求められない。
聴き手も本能的にそれを察知して、車の方を見ることは少ない。目を向ければ八割はがっかりすること受け合いだ。
選挙のお願いというよりは、子供会祭り寄付の嘆願か、公文教室先生の説教に風味が近い。

2のご近所雛とは、地方議員の選挙などに多い。
議員や候補者が支持者の土建屋の娘を使うというイメージである。
学生なのでバイト料がやすいのは魅力だが、仕事を覚えた頃に選挙が終わり、四年後の次の選挙の頃には就職していて使えないので、毎回育てなければならず、雛はウグイスになることはない。

さて、いよいよ1のプロうぐいすだが、これはなかなか金が掛かる。
彼女達は国内にいくつかあるウグイスやに所属しており、ウグイスの大御所の飼い鳥である。
国政選挙ともなると、ウグイスやはチームを各陣営に派遣する。
構成はウグイス1、雛3の組み合わせが多く、機転が利きトラブル処理に長けたベテランに、声が可愛く足が細く、無条件に笑顔を振りまける雛が三羽ついてくる。
最初と最後に現れる社長は、ウグイス暦15年のベテランで、大新聞の政治部長よりも選挙に詳しい。
彼女達は言わば鵜匠であり、配下の鳥たちの上前を跳ねて生計を立てる。
選挙になってから営業をかけたのではこの世界ではやっていけない。日常でも事務所に顔を出し、議員の誕生日にはケーキを届けて顔を売り、パーティーや国政報告会、新年会、夏祭りの司会仕事をこなすのだ。
これによって系列議員の顔や名前、議員の妻や息子の紹介も原稿なしのアドリブで行えるようになり、余計な指導がいらないので秘書に重宝がられて次の選挙でも受注する。

このように並大抵の能力では選挙ウグイスの親方は勤まらないのである。

親方には嗅覚も必要だ。
落選しそうな議員の仕事はできるだけ避け、受けるときも前払いを求める。
彼女達の当落予想は、週刊誌のものよりよほど正確だ。
実勢相場で日当親方は五万、ウグイス三万、雛二万。法定限度額は優に越えている。
これを候補者や事務所と交渉し、超過分の合法的な受け渡しを考える必要があるのは言うまでもない。
一つの地域に金があり相場を知らない新人が出ると、あそこはいくら出している何ていう話は即座に広まり、県警もマークするということになる。

また、経験の浅い雛たちは数週間にわたり朝から夜まで過ごしてしまう選挙事務所の同僚バイトや秘書たちと奇妙な戦友意識を持つこととなり、
選挙戦後半ともなるとつい、情を交わしてしまうことになる。
昼も夜も鳴くウグイスの名は即座に情報交換され、その後もお呼びがかかるという噂もあるらしい。

ちなみにマイクも握る男たちのことを、業界ではカラスと呼ぶ。
カラスが雛を食べてしまうのは、自然界も政界も同じなのである。