映画 『ヤクザと憲法』
二代目東組二代目清勇会の方達や、『悲しきヒットマン』などの作家で、ヤクザの弁護士であった山之内幸夫さんなどを取材したドキュメンタリー。
二月の大阪での上映のときは二百何十番となったわたしの友人は立ち見となった。わたしは三月の終わりなので座ってみることができた。
ただ今もロングラン上映中だからみてほしい。
ヤクザの子というだけで子供が保育園に入園できなかったり、銀行口座も作れない様子、罪状を着せられ一般人より重くつかまえられる様子、人権侵害が伝わってくる。
もうひとりの主人公というべき部屋住みの若者。二代目東組二代目清勇会で、住み込みでお部屋のお掃除をしている21歳の男のひとは、そこへくるまでは行き場を失っていた。若いのに遊ぶでもなく、かれは張り切ってひたすら組事務所のお掃除をしている。こういうひとは、現在の日本では行き場がない。受け皿がない。
代わりの受け皿なく、ただヤクザのひとを追い出す、ぶちこむというのでは、いじめとしかいいようがない。おそろしい日本の構図のみえてくる映画である。映画でもちらりと語られたように、ヤクザというのは、江戸時代の火消しのひとたちである。つまり庶民から発生している。
映画の冒頭にある憲法14条は、
すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により政治的、経済的又は社会的関係において差別されない。
とある。
現在、日本の国は、もと江戸の火事から家を守ってきた子孫である、ヤクザのひとたちに、人権なき暮らしを強いている。カンタンいえば、ヤクザ差別されてるねん、人権どこいった、を描いた映画である。そこからじわっと人の人生がみえてくるので秀作と判断する。