自然の恵みと歴史を感じる空間づくり(山形市,御殿堰)
テーマ:歴史的町並み
城下町の町屋を再現した商業施設。蔵王山系から流れるせせらぎを市民の憩いの場として再開発したそうです。主要構造は県産材を使った木造ですが、耐火建築物の認定を受けています。木造ラーメン構造(KES構法
)で建てられており、入居するテナントが空間を最大限に利用できるような構造躯体の配置になっています。
周りは、色とりどりでスカイラインがでこぼこのビルが立ち並んでいましたが、この一区画だけ、昔からある蔵の利用も含めて、歴史的景観が再現され、歩いていて心が和む空間になっています。派手な看板やのぼりがなく落ち着きのある通りでした。ここはモデル地区として開発されたそうです。
現在、全国の歴史ある地方都市のほとんどが、高度経済成長時代の市街地開発により、地域の特徴ある昔の町の面影が消え、歴史的な背景を感じられない街になっていると思います。郊外型のショッピングセンターが賑わいの中心地になり、旧市街地の商店街はシャッターがおりたままの閑散とした街がほとんどです。
東京や大阪のような大都市では、常に新しい資本が入ることにより建物自体が新しいものに生まれ変わって、同じ場所でも賑わいが保たれますが、そんな恵まれた環境の地方都市は無いと思います。
地方では、その土地で昔からよく使われている、流行に左右されない色や外観、そして、メンテナンスが容易な高さや形の建物を建築するのが良いと思います。たとえば、私の住む地域では、山を眺めることができたり、せせらぎがあったり…子供たちが自然の恵みや歴史を感じられるような空間がある商業施設です。色は新居浜市ならレンガ色(茶系)、隣の西条市なら白と黒のような気がします。
ただし、連続した空間で商売をする商店や飲食店の経営者は、周りの店舗と差別化し、時代の変化に応じた商品の内容やスタイルを変えていくだけでなく、そのコミュニティの管理運営にも携わっていく必要があり、他店との競争と協働が混在する環境になるので、いろいろな面で大変だと思いますが、それを克服することが成功の鍵だと思います。
建築する側は、理想の作品を創ればよいのですが、その空間利用と管理運営は、百年以上続くことを想定しなければなりません。第2次世界大戦で歴史的な町並みが破壊されたヨーロッパの地方都市の多くが、歴史ある町並みを再現し、改築や修繕ごとにその時代の要請に応じた設備や新しい技術でメンテナンスされています。これにより、外観は変らず、建物内は歴史を感じさせるインテリアと近代的な設備を使える環境に変化しています。
古き良き町並みを再現し、それを維持管理していくためには、時代や利用する世代が変わっても、それらを守っていけるような仕組みづくりがとても重要だと思います。
愛媛県新居浜市
阿島1-5-35
業務部 秦








