報告が遅くなりましたが、先週末はサンフランシスコでエコなイベントが目白押しでした。

まずは10月20日土曜日に行われた Lights Out San Francisco について。




Lights Out San Francisco はサンフランシスコに拠点を置く草の根団体で、ベイエリアに住む環境運動家、技術者、作家や教育家が中心となって活動しています。このイベントの発端となったのは、今年前半にオーストラリアで開催された 「Earth Hour (地球の時間)」 と呼ばれるイベントに Lights Out San Francisco のメンバーが参加して、そのメッセージの大きさに刺激を受けたことがきっかけとなったそうです。シドニーでは1時間電気を消すことで、大気中から24.86トンの二酸化炭素(車48,613台分に相当する量)を削減できたそうです。


サンフランシスコでは、夜8時から9時の間の1時間、市内の様々なビルやレストランが明かりを消しました。明かりを消したといっても、最低限必要な蛍光電球はつけてもOK。事前に Pacific Gas と Electric Co. により寄付された10万個の蛍光電球を市民に配ったそうです。ゴールデンゲートブリッジ、ベイブリッジ、コイトタワーやトランスアメリカンピラミッドを含めた有名な橋やビルが協力したそうです。たった1時間ではありますが、主要な電気以外の電気を消すだけで、平均的な土曜の夜に使うエネルギーの15%をカットできるそうです。


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▲ゴールデンゲートブリッジ
Photos taken by Paul Furman www.edgehill.net Oct 20


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▲サンフランシスコのシティ・ホール

Copyright 2007, Djoa Oct 20

※他の写真はこちらから 見ることができます。



またこのイベントには検索エンジン大手の Google も協力し、1時間のあいだ、ベイエリア在住のユーザー向けにトップページの 「ライトを消した」 そうです。さすが、Google!



ほかにもサンフランシスコに本社がある衣料品小売店の Gap、大手スーパーマーケットの Safeway や検索サービス大手の Yahoo! なども協力されたそう。


でも写真の背景を見ても分かるように、このイベントに大きな企業やビルが参加しているとはいっても、町並みの光はあまりライトダウンしているようには見えません。もっと多くの方々の協力が必要です。

しかし、このイベントはこれでは終わりません。

明年の3月29日(土曜)の夜8時から9時の間の1時間に、再び開催されるそうです。すでにニューヨーク、アトランタ、シカゴ、シアトルやロサンゼルスを含めたアメリカ全土の11都市が参戦することが決まりました。


詳しくは 公式HP からどうぞ


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10月19から21日にはサンフランシスコ市内から30分程度北上したノース・ベイの San Rafael にて Bioneers(バイオニアズ)と呼ばれる年次会議が開催されました。greenz.jp の皆さんと一緒に私も最終日にちゃっかり参加しちゃいました^^;



photo by greenz.jp

Bioneers という言葉を耳にするのは初めてという方がほとんどだと思います。私も教えてもらうまで全く知りませんでした。Bioneers は1990年にアメリカのニューメキシコ州で設立され、環境問題や社会問題における現実的かつ革新的な解決策を提案している非営利団体です。映画制作・作家・そして環境保護運動家でもある Kenny Ausubel と Nina Simons が主催しています。数ヶ月前に全米各地で劇場公開され、日本でも来年1月に公開予定の映画 「11th Hour」 に出演する科学者や著名人の約半数は Bioneers のメンバーだそうです。Kenny Ausubel も出演しています。



photo by greenz.jp

大講堂で行われる午前中の全体会議の模様は全米各地で同時開催されている会場と衛星中継で結ばれているとのこと。会議では、革新的な活動を展開している科学者や社会的な問題と戦ってきたリーダーが次々とスピーカーとして登壇します。



私が参加した21日(日)の登壇者たちは次の方々です:

双葉 Wallace J. Nichols / A Brave New Ocean, or an Ocean Revolution?

双葉 Carol Bebelle / Culture and Re-building...Remembering New Orleans

双葉 Charlotte Brody / The Sea Around Us, The Environment in Us

双葉 Winona Laduke / Seeds the Creator Gave Us

双葉 Ka Hsaw Wa / Katie Redford / Earth Rights: Linking Human Rights and Environmental Struggles in the Age of Globalization



海洋の危機について語った海ガメ研究の科学者でもあり、海洋保護活動家でもある Wallace J. Nichols さん(the 11th Hour にも出演しています)、ハリケーン・カトリーナで 「人為的な」 被害にあったニューオーリンズ州で再建に取り組む Carol Bebelle さん、「オス」が「メス」化していることや、化学薬品や汚染物質の脅威を訴える環境活動家の Charlotte Brody さん、遺伝子組み換え農業と何十年も戦ってきた、伝統的な農業を営むアメリカ先住民の Winona Laduke さん、そしてビルマ(現ミャンマー)でアメリカ企業による暴力と戦ってきた Ka Hsaw Wa さんと Katie Redford さん。どの方もそれぞれ第一線で活動されている行動の人。魅力にあふれた方々ですごく刺激を受けました。


その中でも私が最もインパクトを受けたのは、最後のお二人の話。。。




Ka Hsaw Wa はミャンマーの政治的弾圧と闘う人権擁護活動家。カレン族という先住民のメンバーでもある。妻であり、環境・人権を擁護する弁護士でもある Katie Redford とともに EarthRights International (ERI)というミャンマーをはじめとした(人権と環境の問題が本質的につながっている)様々な地域における人権に関する問題に取り組む組織を統括している。


比較的裕福な家庭で生まれ育ったKa Hsaw Wa だったが、大学に入ると政治問題などに積極的に参加するようになり、すぐに学生たちのリーダーとなった。1988年の8月8日、民主化を求めて学生たちがデモを開始したが、10日後の8月18日に僧侶や一般人(主に学生)を含む数千人が、ビルマ(現ミャンマー)軍により殺された。彼も捕まった後、拷問にかけられるが解放された。その後一旦国を離れるが、石油会社 Unocal(アメリカ)が Yadana という地域に石油のパイプライン(流通ルート)を開通するに当たり、それに抵抗をした村人たちを飢餓に追い込み、組織的なレイプや村の破壊といった深刻な人権侵害を犯していたことを、写真におさめ、記録するために母国に戻る。




その当時は企業が他国でいかなる犯罪を行っても罰することのできる国際法が存在しなかった。いわゆる法律の抜け穴である。Ka Hsaw Wa とその当時は法学部の学生だった Katie Redford に対する周囲の反応も冷やかであった。しかしそのような状況下で、二人は EarthRights International を設立し、訴訟を起こすための基金を集め、賛同する弁護士を味方につけ、被害を受けたビルマの人々を代表して連邦裁判へ石油会社Unocal に対して訴訟を起こした。裁判は最高裁まで持ち込まれたが、最終的にはこの裁判に見事勝った。


二人は現在も開発という名の下に苦しめられているアマゾンの原住民をはじめとした世界の様々な地域における人々を支援するため、法律に関する知識について教育をしているそうです。現在は石油会社 Shell と Chevron などに対して訴訟を起こしているそうです。


EarthRights International の公式HPはこちら から。

Ka Hsaw Wa は映画 「Total Denial」 で描かれているそうです。



石油や水といった限りある資源を求めて、今後ますます世界各地で争いが起こる可能性があります。また、戦争は自然をも巻き添えにして、その威力は地球の地形さえも変えてしまいます。環境保護にいくら取り組んでも人間が変わらなければ、同じ問題が繰り返し起こると思います。そういった意味でも、環境問題と平和問題を切っても切り離せない関係にあると思います。


緑の自然あふれた調和のある未来を想像したときに、戦争を一緒に思い描くことができるでしょうか?

少なくとも私にはできません。平和とは何か?私は一人一人がお互いのことを尊敬し合うと同時に周りの環境や他の生物をも大切にしていく、そんな世界を考えます。


今の世界は暴力にあふれています。暴力は戦争だけでなく、身近なところでいえば、いじめも暴力だと思います。対話で解決ができないからといって、暴力で解決しようという姿勢は許せません。戦争と戦争の間の一時的な休戦状態としての平和ではなく、悲惨な暴力のない世界をみんなで作り上げていきたいです。


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Bioneers は毎年10月の第3週の週末に開催されるそうです。

参加している方々も本当に真剣に世界の未来のことを考えている方々ばかりで、参加するだけでもすごい刺激になると思います。私はまた来年行こうと思います。


Bioneers の公式 HP はこちら から。


▼今回の収穫物

Bioneers のことを教えてくださった greenz.jp のみなさん、ありがとうございました!